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 習近平の英国訪問と人民元の国際化 

自国に国際金融市場をもつメリットは預金。 預金者が銀行に対して、どこの誰に貸しけるか意見する権利がないように、他国の政府や企業の預金を、どう再投資するかは、その銀行が決めること。イギリスのポンドは国際通貨であったが、米ドルに取って代わられるとともに、イギリスは経済の衰退の道を歩んだ。そこで、米国国外での米ドル取引きに税の優遇があることを目につけ、米ドルをイギリスの銀行に預金してもらうことで、ロンドンを国際金融街として成立させ、世界中の富がイギリスに集まる仕組みを造った。ちなみにこの米ドルをユーロダラーという。

世界中の富、ここでは米ドルに限定するが、が集まるためには、米ドルの為替市場、そして、一晩から30年に及ぶ短期、中期、長期と様々な再投資ニーズにあった金利商品。また決済を円滑にするための貸借取引き、リスクは高いがハイリターンが期待できる株式など、米ドルの商品をロンドンに揃える必要があった。金融産業は言うに及ばず、ITやメディア・情報、そしてそこに働く人にプレステージな生活を提供する住宅、ファッション産業そして信頼のおける行政・立法など、多くの面で競争優位が必要だ。

今回習近平がイギリスを訪問し、イギリスが最大限の歓迎をしたのは、ユーロダラー同様、ロンドンが人民元のヨーロッパにおけるオフショア取り引拠点としての地位を確定するためと考える。かくして人民元はイギリスで“ユーロエン”となり、国際通貨として地位を着実に固めていくであろう。

過去においては東京、ロンドン、ニューヨークとそれぞれ8時間労働で24時間、世界の金融市場を支えてきた。東京はシンガポールに取って代わられ、香港は人民元のオフショアセンターとしての地位を確立しているが、今現在は過渡期であると自分は考える。中国政府にとって人民元のアジアのオフショアセンターが、一国二制度の為、管理が効かない香港よりも上海であることが望ましい。上海はシンガポールと時差がなく、シンガポールの金融取引きを上海に持ってきたいと考えるだろう。上海からはAIIBや上海株式市場などを通して国内、国外へ中国から再投資できる仕組みを構築する。

台湾も香港やイギリスと同様、将来の上海のように人民元の国際オフショアセンターになりたいと思っている。人民元のクリアリング銀行を中国銀行台北支店に指定しするという合意が2012年になされた。 スイフト911事件以降、米国政府に決済指図情報が筒抜けであり、中国は早急にスイフトに頼らない国際銀行ネットワークを必要としており、まずは中国銀行の国際支店網を使用しているのではと考える。

近未来 、南沙諸島に建てられた軍事施設に対して米国がどのような対応をとるのか注目に値する。貿易のためのシーレーン安全確保に中国が名乗りを上げている中、米国のアジアにおける軍事プレゼンスへの信頼が揺げば、人民元を域内貿易決済通貨として受けいれるスピードは加速するからだ 。通貨と軍事は繋がっていることを示す、一つの契機となるだろう。 


参考:
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/rim/pdf/8158.pdf
https://www.boj.or.jp/paym/outline/kg84.htm/
https://www.boj.or.jp/paym/outline/kg62.htm/
Another offshore renminbi centre? Taiwan's Opportunities and challenges By Robin Chang, Lee and Li, Attorneys At Law
http://www.swift.com/resources/documents/SWIFT_White_paper_RMB_internationalisation_EN.pdf
http://www.stripes.com/news/us/carter-us-will-sail-near-spratly-islands-any-time-it-wants-1.373151