カンボジアの将来
ポル‧ポト政権の崩壊後、カンボジアの人々の心は荒れていた。尊厳を認められない生活を長く強いられたため、人々の心の中に怒りが充満していた。
尊厳を奪われた者たちは、その尊厳を取り戻すためにお金に走る。大きな家、高級な車が優越感となり、「尊厳の損失」を癒してくれると考えるのは普通のことだ。自分はこの「尊厳の損失」が、カンボジアに多くのオンライン詐欺拠点があることに間接的ながら影響を与えていると考えている。国家の尊厳のため清貧を保つより、個人の奪われた尊厳を取り戻すため個人が資金を得る。
だから2023年に首相交代を含む、指導者層の世代交代はカンボジアにとって一つの転期となる英断だった思う。過去のトラウマを直接的に経験し、傷つき怒りを充満させていた世代から、豊かさを知る若い世代の指導者たちにバトンが渡った。過去のトラウマに起因する負の遺産を断ち切ることは、新しい世代のみが成し遂げられること。
自分はカンボジアの将来に期待している。特に衛星を使用しインターネット網構築に興味がある。衛星通信は空が雲で覆われている時間が少ないことが重要であり、カンボジアはAesan諸国の中でも特に、気候的、地理的優位性がある。衛星のダウンリンク(地上局)をカンボジアにおき、ベトナム、タイに陸路で光ファイバーを繋げばシンガポールの海底ケーブル集積地のように、衛星通信の集積地になり得るのではと考えている。最近SpaceX社がカンボジアへの投資を考えている記事が出たが、それもカンボジアの恵まれた気候とロケーションによるものではと考えている。通信の集積地になれば、電力の問題を解決することを前提にデーターセンターの集積地になることも可能だ。
https://www.khmertimeskh.com/501644060/elon-musk-cos-eye-cambodia-as-top-investment-destination/
人口規模:人口が少ないことがボトルネックになることも考えられるが、少子高齢化が進むタイでは隣国、ミャンマーやラオスなどからの出稼ぎ者が労働人口の問題の解決策となっている。効率的な政府が実現すれば、カンボジアでも同様の形で人口規模が少ないことに対応できる可能性があると考える。
国家イメージ:現在タイは、カンボジアとの国境に壁を建設することを考えている。自国民が捕えられ強制的に働かされる国が隣にあれば、タイ側としては自国民を守るためにも壁の建設を考えることは当然のこと。カンボジア側から見れば、カンボジアが危険な場所であることを知らしめるシンボルとなる。
https://www.bangkokpost.com/learning/advanced/2972466/thailand-considers-wall-on-cambodia-border
トランプ政権の関税政策により、ASEAN地域での貿易のつながりがより重要になる昨今。それを阻む要因が、汚職問題。2024年度番のCPIではカンボジアは180カ国中、158番目のランキングとなっている。通信の集積地となるためには国家と政府への透明性と信頼が重要となる
https://www.transparency.org/en/cpi/2024
自分はこのランキングがカンボジアの将来を決めると考える。汚職とはお金で政府高官が動くということ。米中の対立を始め、地政学リスクが国際社会で高まる中で汚職が蔓延すれば、他国の意を受けて動き、麻薬の輸出やサイバー攻撃の拠点となるなど、相手国を攻撃するための代理国家となりやすい。そのことはASEAN地域内の連携が重要性が増す中、地域全体の安全性にも影響を与えかねない。
世代交代を機会としてとらえ、汚職問題を解決し、ASEAN地域内での投資の受け皿となりつつ、自国産業の発展が進むのか、それとも汚職により、地政学的対立の代理国家の闇に引きずられるのか。その大きな分岐点は、国を動かすエリート層の人々が持つ尊厳、心のあり方に依存すると考える。