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土木事業と統治

最近、シンガポールに行ったが、中心部にはヨーロッパ風の建物が保存され、ラッフル像がたち、明らかにイギリス統治時代を大事にしている。リー・クアンユーは日本軍が来るまでイギリスが祖国であると思っていた。イギリス統治には、統治されていたことを誇りに思わせる何かがある。似た例では、香港が中国に引き渡されたあとも、イギリスのパスポートを持っている香港人はそれを誇りにしていた。

古来ローマ帝国に支配されていた地域は、支配されていたことを誇りに思っている。ドイツは神聖ローマ帝国を名乗り、ルーマニアという国名もローマ人の国という意味。

インドの映画を見ていると「俺はアレクサンドロス大王の子孫だ」というセリフを聞く。マレーシアなどのイスラム教の国でもイスカンダルアレクサンドロス大王のこと)という名前をよく見る。これも古代マケドニア王国に征服されたこと歴史を誇っているようにみえる。

ドゥトルテ大統領を見てもわかるように、フィリピンには反米感情がある。フィリピン人に聞いてみると、フィリピンはアメリカとスペイン、そして日本の統治を経験している。フィリピンにはスペインの統治を忍ばせる立派な建物が残っている。それに比較して、アメリカの統治とはそこに軍隊を置くだけで、必要なものを必要なときに取っていくだけだと。

沖縄も1945年から1972年の沖縄返還までの27年間、アメリカの統治下にあったが、アメリカはイギリスやスペイン統治のように何かを残したか?グアムも戦後、アメリカの統治下にあるが、アメリカは軍隊以外に、何をグアムにもたらしたか?

フィリピンも沖縄もアメリカ統治であったことを誇る理由を持っていない。自分にはイギリスはローマ帝国から植民地支配を学び、アメリカ(そして日本)は学んでいないように見える。具体的には、時代を超えて残っていくものへの理解と、外地、内地にかかわらず、共通の祖国を構築するための考慮ではないだろうか。

台湾の人に日本統治時代を聞くと中には、公の場では言いにくいがと前置きしたあと、彼らの祖父、祖母の世代は統治時代を誇りにしており、日本を祖国とさえ言い切る人がいる。なぜなら日本統治は台湾に進歩をもたらしたからだと。シンガポールでの日本統治時代の評判と正反対だ。

自分は土木工事事業、特に「治水事業」との関係に注目している。治水事業が成功し、河の氾濫が抑えられれば、その土地に安心して住めるだけでなく、安定的に供給される水を使い、農業が盛んとなり、食糧事情が改善すれば、子孫が増える。治水の礎を築くものは、感謝の対象となり、未来においては、自国が存在、繁栄している理由となる。

ローマは先進的なセメント技術を使い、現在でも使われている街道や水道を建設した。古来中国では「禹」は治水事業に成功したことで夏朝の創始者となった。中国において、龍とは水を制御するシンボルであり、そのまま統治者のシンボルともなっている。世界四大文明全ては大河沿いに存在し、治水は文明の礎であった。

ヒ素を多く含む土壌のためヒ素中毒に苦しんでいた、台湾南部を一大穀倉地帯に変えるため、八田與一烏山頭ダムを建てた。現在、彼の銅像が立ち、毎年慰霊祭が開催される。そこにはダムという生活の糧に対する感謝がある。シンガポールもイギリスが残した、制度や言葉がそのまま、競争優位の源泉となり、国家存続の礎となっていることが、過去を振り返ってイギリス統治が素晴らしかったという理由となる。

参考:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%B9
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http://dammaster.fc2web.com/taiwan/usantou.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%9B%9B%E5%A4%A7%E6%96%87%E6%98%8E
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