Get Things Right

My English blog is here http://getthingsright.blogspot.com/

資本主義経済における富の創造とその分配 株式市場編

富の分配(富を貨幣によって取得できる購買力と考える)は資本主義経済では大きな問題となる。すべての人は人として尊厳を維持しながら生きていく購買力を最低限保障されるべきであり、このことはたとえ自分で貨幣を獲得する能力のない人にも当てはまる。

自分で貨幣を獲得することができない人が最後のよりどころにする場所は国家、NGO団体、宗教・慈善団体などがありえるが日本においては国家の役割が重視されている。国家は主に税金という形で富を国民から吸い上げ再分配する機能を持っている。

問題となるのは機会費用もしくは収益機会を見出している人から貨幣を吸い取り、見出していない人にお金を分配する場合である。もしお金を増やす事業・投資機会を見出す人からお金を全て吸い上げ、お金を増やす機会を全く見出さない人に分配する国家があるならばその国の経済は成長しない。

株式市場は企業が提示するお金の増やし方(主に事業機会)の信任を株式発行を通じて出資者に問う場所である。
企業の言っていることを出資者が信じれば、株式を買い取るという形でお金が出資者からに企業渡り、企業は事業機会を実現するための資金を手にする。実際に事業を通じてお金が増えたならば企業は配当という形で出資者にお金を還元されることが期待される。つまり株式市場はお金を増やす主体にお金が集まり、配当という形で出資者に増えたお金を分配する富の創造と分配を担う場所である。

出資者がお金を出す・出さないは企業の言っている「お金の増やし方」を信じる・信じないに依存するため株式市場において企業が提供する情報は虚偽がないことが重要となる。

今回の東証大証名証による日興コーディアルの上場維持決定の決断の意義は、企業が提供する情報に虚偽があってもその企業は株式市場にとどまることができることを取引所は決断したことである。超長期的にはこの決断が最近よく見るスローガン「貯蓄から投資へ」は「貯蓄から賭博へ」と同じ意味であったと後に解釈される一里塚とならないことを強く望む。