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金融システムとは  What's financial system?

金融システムを守るために投じられた税金(公的資金)は46兆円をゆうに超えるという。そこまでして守る金融システムとは何であろうか。またなぜ守らなければならならなかったのだろうか。

以下自分の現時点での理解を元に意見を述べる。

金融の原義は金を融かして隙間を埋めることであると聞く。普段使わないお金(収入の10%と仮定)がもしタンスの中にしまわれていれば、10%分だけ経済の還流からお金が失われることになる。この使われない(流動化されない)お金をタンスではなく銀行に預ければ銀行は貸出金という形で経済の還流にお金を戻してくれる(流動化)。銀行は言わば経済に資金の流れを生み出すポンプ、もしくは心臓の役割をしていると言える。(お金は血液)

経済の心臓と聞けば46兆円も惜しくない。止まれば死ぬからだ。ここで2つの疑問が沸いてくる。1つは経済の資金還流を銀行に依存してよいのか、2つめは銀行が倒産したら本当に資金還流が止まるのか(経済は死ぬのか)である。

1つ目は銀行の不良債権を救うために多額の公的資金が投入された事実を鑑みれば銀行が資金還流の担い手として不適格であったいうことは明白である。貸出は審査に一度通れば資金が企業に渡り、貸出した後の企業に対する審査機会は限られている。審査機会が限られていること自体、ベンチャー企業などのまだ海の物とも山の物とも区別かつかない主体に対して資金を渡す場合、致命的な欠陥である。比較して、株式市場は株価という形でリアルタイムに企業の価値を監視・審査しているためベンチャーのように不確定要素の多い主体に対して銀行貸出より適した資金分配方法であると言える。

2つ目は近年銀行業務に新規参入が相次いだ(特にネット銀行)事実を踏まえれば銀行とていち株式会社であり、新規参入と撤退があってもおかしくないと考える。問題は銀行を金融の心臓と位置づけ一株式会社である銀行のクレジットリスク(倒産リスク)を経済全体のシステムリスクと直結させることを厭わなかった時の為政者の愚かさではないだろうか。

実務上の問題として銀行が倒産した場合、預金者に対する払い戻し作業では大きな混乱が予想される。貸出しに回っている資金の分だけ、預金者に払い戻すためのお金が銀行にはないからだ。お金が払い戻されるまでの間とはいえ自分のお金が使用できない場合、預金者は日々の生活に多大の影響をこうむる。かといって預金者は銀行のクレジットリスクを恐れてお金をタンス預金、もしくは株式市場の投資するということは考えられない。

自分は日本銀行が市中の銀行と同じく、個人・銀行の当座預金(決済用預金)を受けつければよいと考える。日本銀行が市中と直接つながるということだ。特定の主体だけが安心してお金を預けておける(クレジットリスクのない)場所にアクセスし、政策金利の恩恵を享受できるのは富の分配の観点からも好ましくない。もしあまりに資金が日本銀行に集まる(バランスシートが大きくなる)のならマイナスの金利(毎月一定割合を顧客口座からdebit)をつけ、政府の借金返済に充てればよい。政府は国債を買い上げ日本銀行に資金が還流した場合、そのお金を消滅させてもよいと考える。日本銀行が政府の機関銀行として発行したお金だからだ。

都市銀行の預金残高は減る(バランスシートは圧縮される)であろうがバランスシートの大きさではなく収益率に注意が向けば問題とはならない。また海外の企業も円建て口座を日本銀行に開くことになる。その際企業は銀行のクレジットリスクに応じて銀行口座の残高上限を決めることになるが時の為政者が日本銀行の信用は為政者も含めおのおの企業、日本国民がどれだけ高い信用を保てるかだと認識している限り、日本銀行シティバンクにも負けない信用が得られるのではないだろうか。(あと外交力も必要か。それと軍事力も?)