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 インフラファンド

インフラファンドとは道路、病院など公的(政府が所有 public ownership)な財を株式(Equity)の仕組みを利用して私的(private ownership)な財に変換する主体である。政府のバランスーシートに記載されている政府所有のもの、主に病院、道路、大学など公的な性質を帯び、利潤を追求する株式会社の形態では運用や設立が立ち行かないとされていた事業がインフラファンドによってビジネスとして定義されつつある。

政府保有の資産を安く買い取り、他者に売りつけることで儲ける(secondary marketで儲ける)インフラファンドは単に政府の愚かさを利用し国民の血税に貪りとっているにすぎない。しかし株式の仕組みを利用し資金を集め、優れたサービスに裏づけされた高い収益を生み出す病院、大学、道路をつくる(primary marketで儲ける)ことは経済の仕組みとしては画期的なことだ。なぜなら政府の役割を縮小させ、政府が提供していては望めないレベルのサービスを受けることも可能にするからだ。

なぜインフラファンドによって公的な事業、資産がビジネスとして再定義されつつあるのだろうか?現段階では2の要素(仮説)が思いつく。

一つ目は世の中に病院、道路事業でも私的事業として十分な利益を出すだけのknowledgeが蓄積されたのではないだろうか。キャッシュフローを計算する技術、経営コンサルタントがもつノウハウなど。

二つ目は長年の資本主義経済活動により貯まったストックがお金に対する希少性を減少させているのではないだろうか。お金はliabilityであり、経済活動を通して”I own you!”, ”you own me!”の関係を続けていれば貯まっていく花見酒の世界である。お金の希少性が失われた結果として期待できるIRR(internal rate of return: 内部収益率)が下がり、公的な性質を帯びている事業にも参入できるようになった。

IRRがゼロになるときは資本が膨大にあり資本の希少性が全くないときだ。もし第二の仮説が正しければ、国民が働かなくとも食べていける経済が生まれつつあるのだろう。もちろんその前提としてその膨大にある資本は少数の人間によって占有されていないことが必要だが。そのように考えるとSovereign Wealth Fund(SWF:国家資産基金)が重要な役割をしめる。現にSovereign Wealth Fundの運用額が対GDP比で5倍に達するUAEでは国民に所得税がなく手厚い社会保障があるという。

日本でも国家は浪費する主体ではなく、富を増幅する主体と認識される日は来るのだろうか。

Referenece:
http://kkubota.cool.ne.jp/hanamizake.htm
http://www.economist.com/printedition/displayStory.cfm?story_id=9230598&fsrc=RSS
http://www.zawya.com/story.cfm/sidZAWYA20071021035202