通貨 XAU ゴールドカレンシー
ゴールドは市場で取引されても、実際に金塊を受け渡すことはめったにない。そのかわり証書を渡す。それをペーパーゴールドという。
ペーパーゴールドを買い取る際は、金の時価総額をUSドルでみて、それを必要に応じて清算通貨に換算し、顧客に証書と引き換えに支払う。そのため、金融機関からみてのゴールドとは、「金の市場価格」紐付けされた、債券に過ぎない。売るときは証書、買うときは通貨を渡すわけだから、実際には「金塊」を扱う必要はない。ブローカの画面には一つの通貨としてXAUがゴールドの金額を表示している。
金融機関は、ペーパーゴールドを売ったら金の時価総額分だけ市場価格変動リスクにさらされる。そのため、グループ全体のヘッジとしてペーパーゴールドを市場で調達する必要があるが、必須ではない。
ここで大事なのは、安全資産としてゴールドを買う人いるが、その安全度は「金」ではなくペーパーゴールドを発行している会社の信用に依存しているということ。発行会社が倒産すれば誰が、そのペーパーゴールド(証書)を買ってくれるのだろう。「金」(ペーパーゴールド)は、その決済の仕組みを十分に理解していない市場参加者によって取引されているのなら、十分に第2のサブプライムになる可能性を秘めている。
実体がない「価格」だけで市場を作り出し、巨万の富を生み出すこの方法は、現代の錬金術といってよいだろう。市場の流動性が続く限り、この仕組みは回り続ける。