Get Things Right

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価値と価格、そして Pricing and Valuation

あなたが100円でA社の株を買った。実現されたA株の価格は100円だ。実現とはA株の売り手と買い手が共通の価格で同意し、売買契約が実現した価格という意味だ。価格は実際に売買契約が成立しなければ存在しない。

それに対し価値は売買契約が実現しなくとも存在する。A株に200円の価格が市場でつけられた。だから200円で売れると思って売りに出したら、200円では売買契約が成立しなかったということは十分ありえる。自分にとってA株の200円は自分の中に存在していた価値であったことがわかる瞬間だ。

同様のことを経験的に理解している銀行は土地を担保にお金を貸すとき、担保価格の半分の金額を上限(クレジットライン)にして資金を貸出す。(価格が安定し流動性が高いと判断されればクレジットラインは上がる)

売買契約は売り手と買い手が同一の価格に合意したときにのみ成立(実現)される。売り手は十分高いと考えているから売るのであり、買い手は十分に安いと考えているので買うのである。利益相反する売り手と買い手が同意できる価格。両者が同意できる価格を何らかの根拠に基づいて計算することを「pricing(プライシング)」という。

投資家に有益な情報を与える企業の会計情報は「実現された価格」と「実現されていない価値」をおなじ俎上に載せて作成されている。日々の取引でその企業が合意した価格。そして取引の結果取得された資産の価値。後者の資産価値の計算方法は、その資産を取得した際使用した価格計算同様と方法でなければ「企業の価格」の根拠となる会計情報の妥当性が疑われる。異なるとするならば時間が経過したことにより諸種パラメータ値が新しい数値に取って代わられる点。この再計算を「valuation(バリュエーション)」という。評価を目的とし実現される(価格となる)ことを期待されていない数値だ。

現実世界では価格はチャートの上げ下げで決まり、価値は直近のチャートについた直近の価格で代替されるところがある。この妥当性はチャートの上げ下げ自体が正当なpricingの結果であるかに依存する。