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  Crossing Networks as the Source of Dark Liquidity Pool

A株が100円で取引されているときに、大口注文で110円の買いを取引所に入れば板には110円の所に大きな買い注文が表示される。現在は100円で取引されているのだから、110以下で指値をしていた売り手は指値を引き上げるであろう。またA株を大量に必要としている人がいると分かれば、110円で売り注文を出していた人は111円と売り注文の価格を引き上げることも考えられる。

このように大口注文は注文を出しただけで価格が動き(Market Impact)、その大口注文に応じる投資家は大口注文発注者に対し不利な条件を提示することとなる。Market Impactを避けるため小口に分け複数の証券会社に注文し、約定したものを在庫管理のために自動的にひとつの口座に集中させることこともできる。(例えば大証 ギブアップ制度の利用)

Crossing Networksとは発注内容を一般に公開せず投資家、業者間で売買注文を成立させるシステム郡(電文プロトコルFixかな)であり、特にコンピュータトレーディングに対して需要が高い。

経済学では価格とは市場における商品の需要・供給情報を伝えるシグナルであるとしている(価格は需要曲線と供給曲線の交点として定義される)。それに対しCrossing Networkは大口取引が市場価格に影響を与えず、取引を履行するシステムといえる。このMarket Impact を与えない部分を指してCrossing NetworkはDark Liquidity Poolといわれる。一物一価の市場原則を破る可能性があるからだ。

経済は価値と価格の交換で回っている。甲さんはA株を200円で買っても良いと考え、丙さんは同じ株を100円で買っても良いと考える。A株を売るならだれもが丙さんでなく甲さんに売りたいだろう。問題は誰が丙さんの高い買値にマッチアップされるかだ。理想的には200円で売っても良いと考えている人は丙とマッチアップされ、100円で売っても良いと考えている人が甲さんとマッチアップされることだろうか。この場合A株は市場において100円、200円と同時点に2つの価格をもつことになる。

実際の経済では同一の物に異なる価格がつく。自分の家の近くにある自動販売機は120円のコーヒー缶を100円で売っている。この場合一物一価の原則が崩れていると言えが、社会の中でこの価格差は許容されている。どちらの価格でもコーヒーを買えばコーヒーが飲めるからだ。しかし株式はちがう。主な取得目的は他人に転売することであり、どの価格で買うかが損をするか得をするかの分かれ目になる。この場合どの価格にアクセスできるかが最重要問題となる。

Crossing Networksは今後、個人投資家がアクセスできない価格に大口投資家がアクセスするための仕掛けとなっていくのだろうか。
Reference
http://www.ft.com/cms/s/511e0a94-5ede-11db-afac-0000779e2340.html
証券レビュー 第47巻第3号 変革期を迎える証券メカニズム 福田徹