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毎月、月末に支店長を前にして部署間の連絡会議がある。議事録は各部所管持ち回りで担当する。いつもは語尾にla- la-付けて英語を話すシンガポール人の同僚も、上席を前にすれば綺麗な英語を喋りだす。使う単語も格調高い。彼らは同僚に喋るとき、会議・学校でのプレゼンなどで英語を使い分けていたのだと知る。
Henceforthは同僚が取った議事の中に使われていた単語。辞書を引くと「古語」とあった。
「これ以降はIT部も参加者とする」のような形で使われていた。
英語圏に住むと単語の意味は辞書通りではなく文脈依存だということを痛感する。たとえば「Public School」。そのまま訳せば「公立校」だが「Private School、International School」(私立校、インター)が公立校より低く見られているシンガポールでは「優秀学校」の意味合いが強い。公立校でもあまり評判が良くない場合は「neighborhood school(近隣校)」と呼び区別する。バックグラウンドを理解していなければコミュニケーションは成立しない良い例だ。
シンガポールような多言語な国では言語自体も文脈依存になる。1.文法どおりの英語、2.シングリッシュ、3.中国語。2.は打解けていること、1.はマイクを持って司会しているとき、プレゼン、ビジネスシーン等あらたまっている、3.は同民族のグループとみなしている意味合いがある。むろん使い分けは自然と行われているため一概には言えないだろうが。日本語に照らし合わせれば1.と2.は丁寧語とタメ語の関係。3.は地方から出てきた日本人が同郷の人を前に、無意識に方言を喋りだすのに似ていると思う。