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投資銀行の作り方 其の一 リスク管理

投資銀行は「リスクを取って利益を上げる主体」である。リスクを取るとは巨額な資金で証券、通貨を売買、そして市場価格変動リスク、流動性リスク、決済リスク等にさらさられること。投資銀行はこれらのリスクを管理、コントロールする術を身に着けているとされる。

リスクを管理するにはまずリスクを把握すること。自社の持高を直近の時価に引きなおし、且つそれぞれの金融商品がどれだけの価格変動にさられているかをリアルタイムで管理する。

金融商品は多岐に渡り非常に複雑。またそれぞれの市場価格情報は過去のものも含め膨大なものとなる。トレーダーが世界中に存在し、24時間どこかで必ず売買が行わる場合、会社全体としてのリスクを把握するにはすべての情報を一元管理する必要がある。

管理すべきリスクはそのほかにも取引相手、証券発行体の信用(倒産)リスク、国の破綻リスク等、取引自体の実行性を保証する土台(取引相手、発行体が破綻してない・テロリスト認定されていない、法律が有効である等)を注意深くモニタリングする必要がある。

リスクを把握した暁にはリスクが許容範囲を超えたと認知された場合、迅速な軌道修正が求められる。たとえばベアスターンズ証券が明日にも倒産すると分かれば昼夜を徹してベアスターンズ証券破綻に影響を受けないようにする等。

では上記のように「リスクを管理」することは可能なのだろうか?

リスク管理の一元化にはリスクを計量化、つまり数値に落とし込み、客観的に比較できる尺度をもつ必要がある。Varを含め様々な計量モデルがこれに該当するが、様々な前提条件の下での数値であり、現実のリスクを比較可能にしているが目が粗い尺度といえよう。法律がよく変わる、破綻の危機などの数値化が難しいものにはA,B,C等目の非常に目の粗い尺度に落とし込むことで管理しているとする。

目が粗いのには理由がある。ブラックマンデーのように売りがまた売りを呼び、買い手がつかなくなり売買が覚束ない状態、もしくは突然のデフォルト宣言によって債権が無効になる等「管理できないリスク」を鑑みると「リスクを取って利益を上げる主体」としての投資銀行は意味をなさなくなる。だから最後は「政治」が介入する必要があるのでは。