投資銀行の作り方 其の二 リスク管理のためのシステム
「他社はどんなシステムを使っているのだろう?」
世界中のデータを一元管理するには世界中をつなぐネットワークの管理、データセンター管理、リアルタイムシステムの構築、24時間のシステムの監視体制。必然的にITに対する投資が大きくなり、IT部門の技術力も高いものが要求される。
IT投資が大きいとは、ITが他社との差別化要因なりえると認識されていることを示唆する。具体的には優れたリスク管理システム・体制をもつ会社は他社よりもより高いリスクを取りに行くことができる等。
また同時にIT投資が大きい産業では会社はそのコストを下げよう、もしくはその恩恵を受けようと第三のベンダーが新規参入を図ろうとするインセンティブが働く。後者は社内システムを作っていた人材が独立したりすることも含む。
最近は職務履歴書をネットで共有するサイトがでてきて、他社のシステムを知る機会が増えている。そこで知ることができたことは多くの会社が同じようなパッケージソフトを使用していること。そして浮んできたのは「ITは差別化要因にならなくなっている」という仮説。
世界中つなぐネットワークとは今ではTCP/IP、インターネットがあり暗号化して使えば専用回線と同じ利便性がある。データセンター管理も「クラウド・コンピューティング」という言葉に代表されるように第3者の提供が始まっている。自社でMSエクスチェンジサーバをたてて、社内メールシステムを構築し、Gmailより大きなメール保管サイズを社員に提供できる会社は少ない。つまり多額の投資をして構築する自社の情報システムよりもただでコンシューマ向けに提供されているシステムのほうが、利便性が高いことがありえる。リアルタイムシステムもパッケージソフト、もしくはSaaS、ASPとアプリケーションサービスが出てきている。これらアプリケーションサービスは証券銘柄などの金融商品名を自社で入力しなくてもよいという利点がある。
上記仮説は「クラウド・コンピューティング」の普及の結果、新規参入の増加、新旧の交代等が見られれば正しいといえよう。
Reference :
http://www.buysidetechnology.net/
http://www.efinancialnewsevents.com/conference/technologyss/
- 作者: 藤巻健史
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