Get Things Right

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香港の言語空間

香港に4泊してきた。初めての滞在。シンガポールと度々比較され、なんとなくシンガポールの未来が香港を通して見えるのではという気持ちを抱いていた。シンガポールは人口の拡大政策を続けており、近未来において香港のようになるという話を聞いたことがあるからだ。

結論を言えば、町並みはシンガポールというより、東京の上野、新宿を歩いているような錯覚を覚えた。まず、寒いということ。そして人口密度が高く、派手な漢字看板が目に留まる。機能すればよしとする香港の街づくりと、細部まで美しさを追求するシンガポールの街づくりには大きな差がある。

香港の魅力はリテールが強いということ。ふらっと入った小さなフランス料理屋で食べたケーキは最高に美味しかった。パン、ケーキ、コーヒー、そしてもちろん中華もレベルが高い。フランチャイズでもない、小さなリテールに力強さを感じることができるのは幸せなことだ。香港に比べ、シンガポールは資本の力で高品質な接客、料理空間を作り上げるので同レベルのものを求めると、どうしてもホテルのレストランという選択肢になる気がする。これを文化の力で高い品質に持っていくことができたら理想だ。

興味深いのは、香港で使われている言葉。子供が公園で遊ぶことに聞き耳を立てていると、英語と広東語が聞こえてくる。空港、交通機関の案内は英語よりも漢字(繁体字)が優先されている。ところどころの政府広告には簡体字が使用されていた。

香港ディズニーランドでは録音された場内放送(乗り物が止まるまで座っていてください等)は広東語、英語、北京語と3言語で流されるが、マイクをもって係員が話す言葉は北京語だけ。その指示に従って中に入るとアトラクションの進行は全て英語だった。

レストラン、ショップで英語が通じない場合、北京語を話すと大抵は理解してもらえた。いくつか書店に入ったがほとんど英語の書籍だった。少なくとも香港で接客業に携わる人が必要とする言語は英語より北京語が重要だが、教育は英語が中心ということか。

香港人の英語は、シンガポール人より崩れていない。シングリッシュという言葉はあっても香港人が喋る英語にそのようなカテゴリーを聞かない。北京語も南方なまりはあるとしてもシンガポール人より標準に近いのではないか。中国返還前はほとんど、北京語を香港では聞かなかったと聞く。大陸中国の急速な発展、上海の2020年国際金融センター計画など、香港は大陸都市の発展に埋もれていく可能性がある。言語環境の急激な変化は香港の生き残りをかけた、環境適応への自発的化学反応と思えた。