Get Things Right

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ビジネスプランについて

孫子の兵法は情報を重視している。相手を知り己を知る。答えは十分な情報が与えられてこそ、一意に決まる。このことは数学で言うところの、条件式の数と変数の数が同じ場合に、変数の値が一意に決まることに通じる。孫子の兵法が時を超えて普遍性を持つ理由だ。

自分は漠然と、ビジネスを立ち上げたいと昔から考えていた。しかし「何のビジネス」という問いに答えが出なかった。また「どうしたらその答えが見つかるか」という問いにも答えが出なかった。シンガポールに住んで、日本のこれがあったらいいのにと思えば「日本からシンガポールに持ってきたら?」と思い立つ。シンガポールでこれが凄いと思うと「シンガポールのこれを日本に持ってきたら?」とも思う。大概、この場合は小売ビジネスだ。そう思っているとユニクロサイゼリアシンガポールに出店し、シンガポールの豆乳スタンド「ミスタービーン」が渋谷に出店した。

みんな考えていることは一緒だなと思う。ちょっとだけ残念な気もするが、自分が現時点で情熱をもっている分野ではない。(ちなみに北京で飲んだ缶ジュース王老吉は、日本で売れると思う。イギリスで韓国の辛ラーメンを食べて、日本で売れると思ったのと同じぐらいの確信がある)

「成功するビジネスプラン」という視点で考えているとなかなか答えがでない。他の人が同じことを考えているかもしれないし、いくら頭の中でシュミレーションしてもどのような状況が起こるかという未来の情報は存在しないからだ。また未来の情報は自分が行動してみて初めて存在しえ、あらわになることも多分にある。

だから自分自信の理解が重要になる。情熱、執着心を持って携われるか。困難が起きても、乗り越えられるか。必要なものをその場で、獲得できるか。失敗しても再起がありえるか。リスクはどれだけ取れるか。そう考えていると分野が特定されてくる。不思議なのは、ビジネスをすると決心がつくと、何をするかが見えてくる。今までは「いつかーする」だったため、思いつきのプランについて、連想がすぐに停止する。しかし「今からーする」となると、連想が連想を呼び、具体的なことが見え始める。人間の無意識の影響力の大きさに改めて驚くとともに、情報は行動とともに作られることを確信する。

優れたビジネスプランは、思いつきではない。十分な情報と事象の構造理解を条件として一意に決まる、均衡点のようなもの。だから美しさがある。アイデアは革新的に聞こえても、未来は当然このようになる。なぜなら、それは新しい条件のもとで移る、新しい均衡点に過ぎないからだ。移らなければ、それは前提条件(もしくはビジネスのやり方)が間違っていたことになる。その答えは行動してみなければ、分からない。