新約聖書 その弐 誰が救われるのか
「教会 に行かないとどうなるの?」と子どもが親に尋ねる。「決まってるじゃないか、天国に行けずに地獄に落ちてしまうんだよ」と親が答える。
上記の会話はありえると思う。しかし世界観の浅はかさは免れない。自分は答を知っているとし、相手に恐怖を与え、人が人を支配する意図が見受けられる。そしてそれは中世ヨーロッパを覆った現象でもある。
誰が天国に行き、誰が地獄に行くのかを決めるのは神の領域であり、人は神の代わりに答える資格はない。またその条件を人が神に押し付けることもできない。人が神に影響を及ぼす定式は存在しえないからだ。もしそのような定式が存在するならば、人が神を支配する力を部分的にせよ、手にすることとなる。唯一絶対神とは、絶対に人が支配しえないもの。しかし多くの人はなお、 神に影響を与え、願いをかなえるために祈り、祀る。それは形式的に、神は“便利”な存在と捉えていることになる。
人間の側から神に影響を及ぼす手段がないとするならば、救済への確信は自身の内なるものから導かれるもの(信仰心)にならざるえない。そして内なる確信は日々の行動や体験などに裏打ちされていなければ儚い。「天は自らを助けるものを助ける」とはよく言ったもの。このことは「人は従属しなくても良い(自由である)」と捉えることができる。自由は人によっては福音であり、また人によっては絶望である。イエスは神を慈悲深く、愛に満ちていると記述しているので、もし絶望を感じることがあるならば “信じる”ことに価値はある。
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