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 アベノミクス

久々に日銀の循環統計を見た(2014年第4四半期速報)。

二ページ目のフロー、中央銀行の資産で、証券70兆円の増加が見える。また負債側の日銀預金も71兆円とほぼ同額増加している。預金取扱機関(銀行などの金融機関)は証券の保持を39兆減らしている。

アベノミクスとは1)日銀が国債を市中から買い戻し、その代金を日銀預金口座に振り込む 2)金融機関は日銀預金口座の残高が増加する 3)国内には円を貸出す先がなく、外貨に変えることで、円が安くなる。また株式に投資するため株価が上がるということではないだろうか。

また金融機関が国債を売ったということは、市中の金利が下がり国債の値段が上がったということ。日銀がお金を金融機関に流しているのは米国国債を買うためという人がいるが、確かに米国国債の日本の保持残高は2014年1月から2015年1月までで約37.2Billons(約4.5兆円)増加しているが71兆円からすれば小さい額だ。

国債の売買で特徴的なことは、国債を日銀に預けて、お金を借りることができる。具体的には100億の国債を買って、日銀に預ければ100億円が日銀預金口座に振り込まれる。振り込まれたお金は100億円相当の国債を担保にして、日銀から借りたお金。日銀から借りるお金と、日銀への国債購入の代金引き渡しが同時行われるなら、日銀から100億円借りるのと同時に、その100億円を国債の購入金額にあてるため、差し引きゼロで金融機関は国債を購入できる。すなわち国債を買うには(ほとんど)元手はかからないということ。(実際にはヘアカット率というのがあり、ヘアカット1%と日銀より設定されるなら、借りられる額は99億円となる)

だから国債が「売れない」、すなわちオークション形式で行われる国債の発行で、申し込みがない状態(未達)になるとすれば、国債がタダ同然でも(お金を融通しても)引き受け手がないということ。国債の売り手が日本政府財務省なのに、日銀を通して市中に流すのは、金融機関が国債を買うための資金を提供する上で非常に高い利便性を提供している。

今後日本政府は、A)日銀の継続的な国債の買い取りB)超長期国債(10年超)の新規発行によって、償還日の延期(リファイナンス) C)国債の買い手の新規開拓(直接販売、外国投資家)などによって、時間稼ぎをしている間に、 構造改革につなげていかなければならない。だだ、現在の円安、株高は既存の企業の延命措置であり、構造改革を遅らせている。また長期国債が中心となることで国債価格がより金利変動の影響を受けること。暴落するときは早い。

また、本当に怖いのは、アベノミスを辞めた後、日銀が国債を買わなくなり、金利が暴騰し国債が暴落すること。だから安部首相と黒田日銀総裁(2018年4月8日)の任期は一つの節目となると考える。

最後に、日銀に国債を買わせたり、長期国債でリファイナンスなどは所詮延命措置でしかない。本当に問題なのは抜本的な改革案なのだが、日本は行き着くとこまで行かないと、方向を変えられない。それでは第二次世界大戦の頃と変わらない。すなわち根本のところで教育や、社会の前提が間違っているのだと思う。「水と安全はタダ」というように。サバイバルのための条件に対しての前提が。その前提を学び、正すのにリー・クワンユーは良い題材だと思う。

参考
http://www.tradingeconomics.com/country-list/rating
http://www.tradingeconomics.com/japan/money-supply-m0
http://www.tradingeconomics.com/japan/central-bank-balance-sheet
https://www.treasury.gov/ticdata/Publish/mfh.txt
http://www.mof.go.jp/jgbs/
http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2015/gaiyou150114.pdf