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 表意文字としての漢字

中国語の最大の特徴は、漢字が表意文字であり、見ただけでは正しい発音がわからないこと。数ある中国語の中で、書き言葉があるのは広東語と北京語のみである。言葉は話し言葉が最初にありきなので、後から文字を音や意味から鑑みて漢字を見つけて音に当てるか 、 新しい漢字を創る必要がある。この作業は、下からは大衆文化、歌やテレビなどの娯楽、上からは政府の役人や、知識人が日々時代にあった漢字を探し、創りださなければならない。表意文字は、話し言葉が書き落とされるためには、膨大な労力が必要となる。漢字が新しい音に充てがわれても、それが一般に受け入れられるとは限らない。広東語は香港のお陰で、書き言葉を持つことが出来たが、今後とも香港が広東語の書き言葉を支えることが出来るかは疑問だ。

文字に書き落とされない話し言葉は、世代が変わり使われなくなると再現が困難。台湾語は対応する漢字がない語彙が多く、漢字を意識させない。唯一台湾語で漢字を意識させるとしたら、台湾語の歌詞ではないだろうか。カラオケなどで歌を検索するには、日本語ならアイウエオ順だが、中国語は画数順。

表意文字は「正しい漢字」を確立するために、常に権威が介在する余地がある。またそのことが中国を、ヨーロッパと異なり一つの民族とみなす原動力となっている。「正しい漢字」を探し、それを提示し、受け入れられる一連の文化的プロセスが、民族の結合を促す絶え間ない調整作業となっている。

韓国やベトナムが独立後、漢字を捨て独自の表音文字を推進したのは民族が表音文字を使用すれば、自然と言葉が独自のモノへと展開していくのを意識していたからではないか。日本語も漢字部分は全国共通だが、語尾などのひらがな部分は地方差が激しい。ちなみに日本語の書き言葉は、中国由来なら漢字、欧米ならカタカナ、日本由来ならひらがなと、言葉の由来を明示しているのが最大の特徴。

表音文字の英語はアルファベット26文字を覚え、発音法則を少し学べば辞書も引きやすく、子どもでも自律して書物を読み進めることができる。JKローリングのハリーポッター1巻は、英語圏なら6歳の子ども(小学一年生)で読む。(実際は、幼稚園生でも読んでいた子がいて驚いた)。日本語ならば8歳が適齢か。中国語、特に繁体字を使う台湾ではより遅くなるだろう 。このように英語と中国語では何歳から自律して、読み始めることが出来るかに大きな差があると考える 。

なぜシンガポールでは多くの華人が、話せても読むことが出来ないのか疑問に思っていたが、英語は早くから自律して読み始めることができ、コンテンツも豊富。自然と中国語の書物から離れていってしまうのだ。自分の子どもが、漢字を身につけないとアクセスできない“めんどくさい”日本語書物より、英語の豊富なコンテンツ(ナショナルジオグラフィック子供版など )を前にして、日本語から遠ざかる。 楽に漢字を覚える方法はないのだろうか。画数も多く書き順があり、読み方も複雑で、毛筆など使わないのにハネ・トメがある。偏と旁の部首を区別し、その上同音異義語(対象、対照、対称など)が多い。左右、上下のバランスも考慮して個々のパーツを配置しなければ、美しくない漢字。広東語が書き言葉を持ち得たが、台湾語はできていないことを鑑みると、表意文字の運用のハードルは相当高い。

参考
http://www.stirrup-queens.com/2014/03/at-what-age-should-you-read-each-harry-potter-book/
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6499165.html