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中国とアメリカ

アメリカは移民の国で、多様性がある。だからこそ多様性にまたがる人類の普遍的な価値観が、文明・文化、人種、言語、宗教などに関わらず、存在するということを信じる。普遍的な価値観とは具体的に、民主主義や自由という概念。だからこそ他国に干渉的に民主主義や、自由をもたらそうとする。時にはそれがあまりにナイーブで、結果として他国に混乱をもたらすとしても、普遍的な価値が存在することは建国の理念であり、アメリカがそれを翻すことは構造的にない。

中国はその普遍的な価値観の存在を理念として信じない。価値観は民族や国、そして文明により異なり、多様性を束ねる人類普遍的な価値観はないとする。だからこそ、ひとつの国としてまとまるなら、抑圧的になるしかなく、中華文明の偉大さを誇る。偉大さを信じれば、抑圧は美徳となるからだ。事実、古代には中華文明を吸収することこそ、周辺国の美徳となる時代があった。しかし残念ながら、現代において「偉大なる中華の復興」という理念は、理想としては「人類普遍の価値観」とは程遠いものだ。

アメリカが南シナ海において海軍を用いて「Freedom of navigation(航行の自由作戦)」を行っている。 ここでいう「自由、Freedom」はアメリカにとっては人類普遍の価値観、中国にとってはそんなものは存在しなく、米による中国の封じ込めと映る。 安倍首相が中国に対して「価値観を共有する国々との連携」と言うのも、アメリカと中国の対立の根源には中国による、アメリカ建国理念の否定という価値観の対立があるのではないか。

人類普遍の価値観は本当に存在するのだろうか。自分は存在すると信じるべきだと考える。アメリカが建国の理念を掲げることで、 直近ではアメリカで黒人の大統領が誕生したように、理想の実現を促すと考えるからだ。人が志を持ってこそ、大きな理想のための一歩が踏めるように。

アメリカと中国が人類普遍の価値観の存在の是非を巡る対立ならば、対立は1)アメリカが自由、平等、民主主義は個別的価値観である、とアメリカ建国理念対してシニカルになる2)中国がアメリカ的価値観を受けいれ、国体を変える、の二通りの結末が考えられる。

理念国家であるアメリカと、文明国家である中国。価値観の対立は避けられない。だからこそ、人類普遍の価値観が存在するということを、より強固にお互いが確信し、理念・理想を掲げてこそ、お互いの共通点や良い所が見えはじめるのだが、現在の共通理念なき現実のもとでは、相手は競争の対象であり、だからこそサイバーアタックなどは正当化される、殺伐とした風景が中国にはみえており、アメリカもその風景を共有し始めているのではないだろうか 。