Get Things Right

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ビルトインスタビライザー(build-in Stabilizer)

消費税と所得税。同じように自分たちのお財布から余分にお金が取られていく社会の仕組みだが、それぞれ社会の中で異なる機能を担っている。

所得税の場合、景気が悪く人々の所得が低いときは支払われる金額が少なくなる。つまり人々は少ない税額を支払い、割合的により多くの金額を自分の生活のために使うことができる。

このように景気が悪いときは自動的に税額が抑制され、行政や立法が何の措置を取らずとも人々の生活を助ける社会のシステム機能を経済用語でビルトインスタビライザーという。

行政や立法は国会で審議して法律の公布・施行という過程を経るため、社会の変動に対して迅速な対応ができない。そのため社会の仕組みとして事前に条件とその条件が満たされた場合の自動発動内容を定めておくのだ。

卑近な例では保険も同じような機能を個人に対して提供している。事前に病気・事故などの条件に対して支払保証額を設定し、条件が満たされれば自動的に支払保証額が受取人に渡される。

自分はビルトインスタビライザーという概念もっと広く社会に利用されてよいと考える。たとえば薬剤。①新しい薬剤に対して市販後の判例が1万件を超えるまで処方後の追跡調査を義務化する。②追跡調査のなかで処方後10日以内にどんな理由であれ死亡例2件起きれば(老衰、事故でも)③2件目が起きた時点で自動的に全国一律その薬剤の処方を禁止する。

ここで重要なのは②の条件だ。②の条件は事象の観測という形式で条件を設定し、誰が見ても明確であることが望ましい。③の発動内容については薬剤の因果関係が確定していないのに処方の禁止はおかしいと思われるかもしれないが、ここでの設定は新しい薬剤である。薬害エイズのように因果関係が確定してないとの理由のもとに安価な非加熱血液製剤が使用され続けてはならない。同様なことが起きないように条件は事象の観測という客観的な形式が望ましい。

変動為替も一種のビルトインスタビライザーと言える。特定の通貨経済圏が価値を提供できなくなれば、自動的にその通貨は切り下がり財やサービスが安価に提供できるようになり、経済浮上の追い風となる。昨日書いたポイント経済圏、Common denominatorのアイデアも地方浮上の為のビルトインスタビライザーの組み込みというつもりで書いてある。