Get Things Right

My English blog is here http://getthingsright.blogspot.com/

  ルワンダ中央銀行総裁日記

大学生のときに読み10年ぶりに再読。改めて驚くのは著者服部 正也(故)の優秀さ。
語学はフランス語、英語ともに抜群であることが読んで取れる。だがそれ以上にルワンダの人々、通貨基金の人々を説得させる上での論理が明瞭、簡潔で且つ礼節への配慮に富むことに感銘を受けた。最後には人に動いてもらわなくては政策の実現はおぼつかない。

大統領直々に特命を受け、通貨切り下げに伴う構造改革案を一人半年で作成する。何も知らない異国のことを自分の目で確認、通説に惑わされずルワンダ人の潜在能力への確信を深め、顕在化させるための諸策を案に盛り込む。

大学で開発経済学の講義を取ったことを思い出した。アフリカから来た政府関係者出身の学生を前にアメリカ人講師がアフリカの惨状について説明する。先生も大変だなと思ったのを記憶している。さしずめ公立の英語の先生が帰国子女ばかりの生徒を相手に講義する感じか。同時にアカデミズムが繰り出す権威創造の威力を垣間見た気がする。

財、サービス、人材、資本が自由に行き交う「フラット」な未来世界を仮定したとき、アフリカ諸国の経済成長は資本が既存市場で飽和し、新たな成長(お金儲け)への欲求をアフリカに見出したとき自発的、不可避的に起こると言えば楽天的過ぎるだろうか。

少なくもと仏、米、中、露などにとって資本を投下するほうが武器輸出より儲かるという状況が必要となってくる。

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)