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 Monetary Authority of Singapore (MAS シンガポール通貨当局)の為替介入

働きながらMBAコースに通っている同僚が教えてくれたのだがMASは為替介入をする際、通貨バスケットの概念を導入しているという。円がドルに対して高くなりすぎた場合、ユーロに対して円を売っても円はドルに対して安くなりえる。外為市場は裁定取引アービトラージ)が機能しているからだ。これに従いシンガポール当局は為替介入を図る際、事前に設定したバスケット通貨、円に何%、ユーロに何%というかたちで為替介入の投入金額を通貨ごとに決定する。

日本・中国の場合はドルが自国通貨に対して安ければ通貨当局がドル買いをする。そのため両国の外貨準備高はドルに偏り、巨額に膨れ上がっている。自国の資産がある特定の通貨に偏っているのはリスク管理の観点からも好ましくない。自国の資産、外貨準備高が分散投資されていないからだ。ドルを他の通貨に変えて分散を図ったとしても、それはドルを売ることになり為替介入の意味がなくなってしまう。結局ドルはドルのままで運用することになり、その行き先は米国のイラク戦争の結果多額に発行されている米国国債になる。

シンガポール型の為替介入の場合は、為替介入の結果得られる外貨が複数の通貨に分散されている。このことはシンガポールの政策投資により広い投資機会、しいては大きな収益機会をもたらしていると考える。

先日のシンガポールの新聞には日本政府の経済財政諮問会議などがシンガポールの政府系投資会社テマセクをモデルにした国策投資会社の設立を検討していといるとの記事があった。高齢化社会を向かえ限りある日本国の資産を富の生まれるところにおいておこうという方向は正しい。むしろ遅すぎたともいえる。政府系投資会社はグローバルに分散投資をすることが前提となり、必然的に日本国の為替介入方法もシンガポール型になると考える。

Reference:
http://www.mas.gov.sg/index.html
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200704230019.html