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統治についての雑感

昔、シンガポールで2階建てのバスに乗り、2階から風景を楽しんでいる時、後ろに座った中国系の人が、自分たちが日本人だと分かると「ジンゴウ」という。意味が理解できなかったので書いてもらうと「靖国」だった 。彼は中国政府の為に、何年も中国に帰れず、中国政府が嫌いなため「靖国」に行きたいという。靖国に「行くだけ」で、自国政府に対する復讐になるのかと驚いた(どんな教育を受けたのだろうとも思う)。靖国に対するイメージの差は日中間であまりにも大きく、相互に理解できるものではないことを知った。

またシンガポールでは日本兵に銃剣で、意味なく手を刺されたという人や、マラッカでは小さな川のクルーズ観光で、ガイドさんが小さな橋を指して、ここで日本人が首を切り落としていたと聞いた。リー・クァンユーが伝記で繰り返し述べたように、戦時中の日本軍は残忍であり、正統な手続き踏むという意識が薄かった。

ベトナムでは 米の四毛作ができ、飢饉が起きたことがなかったが、日本軍が入ってきて、綿の栽培をさせたため初めて飢饉を体験したと聞いた。戦時中、日本の統治は多くの苦しみを生み出した。

実際、人々から話を聞くと体験談や、どのように影響をうけたかの事例は様々であり、且つ国によって異なる。結局 、自分が抽象的もっていた知識では、体験を語る現地の人と比べれば知らないに等しい。かといって、多くの事例を学ぶのは時間がかかる。そのために相互理解は難しい 。自分は「日本軍の悪行を知っている 」といっても、大概、彼らの体験談とは異なるからだ 。そのほか話しに聞いたのは、通貨についてであり、日本統治下の通貨が 戦後紙くず同然なり、ある人は大損し、ある人はそれを商機としたことなどの経済的な影響。

なぜ英国統治と日本統治の評判がここまで異なるのかと疑問に思っていたが、ひとつ台湾できいたが話がヒントとなると思う。日本占領下の台湾では、警察は裁判官も兼ねていた。だから、その場で射殺することもあり、昔の警察署の土地には、今なお多くの死体が埋まっているという噂。

日本の統治には裁判権の明確な分離がなかった。だから、軍や警察が裁判権をもっているようなものであり、武力を持つものが裁判権を持てば、その場での射殺も正当化される。似たようなことは、現在の中国共産党にも言える。権力の分離が弱く裁判権、武力、政治と全てが、一つの党に集中すればその場で射殺もしやすい。トラもハエも叩くと言って、汚職の取り締まりを標榜しているが、叩くかどうかの決定は、実は司法が担当すべきことであり、それを行政を担当するものが標榜すること自体が権力の集中を生み、汚職の原因となっている。

権力の分離が弱い為、権力・武力での圧政・腐敗がはびこり日本の占領統治は、英国統治と比べ、非文明的であった。結果、民は後者を好み・尊敬し、前者に対して恨みを残した。似たような構造は、権力分離の弱い政府に反対するという意味で、今の香港での学生デモにも言えるのではないだろうか。