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国債暴落のとき 其の三 事象

国債暴落とともに、ハイパーインフレが起きることを心配する声があるが、自分は起きないと考える。なぜなら銀行のシステムはインフレになると動かなくなるから。会計勘定が紙の時代と違い、システムは一定以上の桁数を保持することが出来ない、もしくは一定の桁数が超えた場合、正しい計算が出来ないからだ。

具体例を述べよう。残高を表示する画面があるとする。13桁(一兆)まで表示(もしくは保持)できるとして、10%のインフレが起きれば、14桁目が必要となるが表示(保持)ができない。通帳にしても、記帳可能な桁数を超えれば、通帳に正しい数値が記帳されなくなる。リレーショナルデータベースは何桁まで数値を持つかという情報(スキーム)を初めに決定する。それを変更し、画面やロジックも変更し検証することは大きな作業となる。事前に日銀からインフレを起こすからシステムの変更準備をするようにという通達は各銀行に来ない(と思う)。

またプログラムにも、型と呼ばれ何桁まで扱えるかという制限が決まっている。たとえば平均残高を求めるには日々の残高を出し合わせ、日数で割る。100億円の一年間の平均残高を計算するのなら100億を365回足し合わせ、後に365で割ることになるが365回足し合わせた際に、桁数が上限を超えればシステム停止もしくは数値が変更されてしまう。

ギリシャ国債のヘアカット率が50%を超えたと聞く。ヘアカットとは国債を担保に現金を借りる際の割引率。50%なら額面100億円の国債に対して、50億円の現金を借りられる。日銀が発行している国債を日銀に担保として差し出す際にも、このヘアカットは存在する。額面100億円の国債を日銀に差出して、お金を借りる際、国債の信用度に比例して額面を割引いた金額の現金を借りることが出来る。この割引率はパーセンテージなのでシステム的には簡単に値を変更できる。現在はほぼ日本国債と日本円の信用は等価となっているのでヘアカット率は低くなっているが、国債の暴落の際、現金の信用を国債の信用から切り離すには、このヘアカット利率を99%のように高く設定する必要がある。

自分は日銀がヘアカット率を高くすることは、通貨の番人として当然であると考えるが国債を担保に現金を借り、流動性を確保している銀行に多大な影響がでる。緊急無担保融資と合わせてヘアカット率を高くしたとしても、融資金額には限度がある。経済が急激に収縮し、デフレスパイラルが起こり、大量の失業者が出ることがありえる。その時には国債は売れないため、政府に財源がない。海外の政府に支援を仰ぐときだ。インフレを期待し、借金をして不動産投資をしている人が一番割を喰う可能性も否定できない。政府は税金を払わない、国民の資産を差し押さえることができるからだ。