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デリバティブ取引の保険機能と持続可能な経済 The Contribution of Derivatives as Price Guarantor for Sustainable Economy

デリバティブ取引は投資機会提供の他にリスクを回避するための保険(ヘッジ)機会の提供という機能を持っている。

デリバティブ取引の起源ともいえる江戸時代に始まった先物取引は青田買い。稲が収穫される前に値段を確定させておき、購入者・販売者ともに豊作・不作にかかわらず事前に合意した価格でお米を売買する。未来の価格を現時点で確定させておく利点は、未来に対しての不確実性を価格という側面においてひとつ消去できる点にある。

価格において不確実性が消去されればその分資金繰り等の計画が立てやすい。デリバティブ取引が可能な資本市場は投資家に投資という収益機会の提供とともに、価格保全という保険機能を担っている。

価格保全とは甲が1年後にA株を100万円で乙に引渡す取引をした場合、一年後にA株を引渡す側(甲)が100万円という価格を乙に対して保障することで成り立っている。つまり一年後マーケット価格が200万円で売られていても甲は乙にたいして100万円で引渡す義務を負うということだ。もし甲が引渡し時にA株を保有していなければマーケットでA株を調達する義務がある。保有してればそのままA株を引渡せばよい。このように価格保全機能は証券の引渡し側(甲)が価格変動のリスクを負うことにより成り立つ。

証券価格の変動リスク。A株が200万円から100万円に下がる場合。大きな会社なら100万円の損失はたいした額ではないかもしれない。しかし小さな会社にとっては致命的なことがある。この場合大きな会社が幾らかの手数料を条件に小さな会社のために、1年後のA株の価格を200万と保証すれば小さな会社は致命的な状況を一年も前から回避できる。それに伴い小さな会社の倒産リスクは小さくなり、より多くの会社が取引してくれることとなろう。

このようにデリバティブは価格変動リスクを小さな会社から大きな会社に転化し、社会全体での倒産リスクを小さくすることが可能にする。

同様のことは国家間の通貨取引にも当てはまる。東南アジアの国々は通貨が米ドルに対して下がった場合、その通貨暴落を引き金に経済危機に発展する可能性が高い。その際巨額の米ドルを保有する日本が通貨の価格を保証する、つまり事前に合意した価格で米ドルの引渡し義務を負っていれば経済危機を事前に防ぐことになる。これは金融保険商品を東南アジアの国々に売っていると言い換えることができる。