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全銀システムのグローバル化 (zengin global案)

ATMで銀行振込みをする。振込先の銀行、支店名そして口座番号を打込めば即座に、振込先の名前が出てくる。日本では当たり前の風景だが、実はこれは物凄いことだ。相手先の銀行口座情報が、オンラインで確認できれば振込先の名義確認は振込み人ができる。

シンガポールで何回か、決済システムについて同僚にプレゼンテーションをしたが「全銀システム」についてふれると、「Wowwww」という叫び声を聴衆は上げる。驚いたよ。

振込みとは、相手先の顧客口座に金額を借方に記帳すること。ここで業務を煩雑にしているのは、お金の流れが一対一で対応していないことにある。

まず最初に、顧客口座(振込元)から銀行口座(振込元の銀行)にお金が集められる(多対一の関係)。そして銀行口座(振込元)から銀行口座(振込先)にお金が流れる(一対一)。そして銀行口座(振込先)から顧客口座(振込先)にお金が分配される(一対多)。

顧客の資金送金は最終的には多対多の関係なのだが、銀行間の振込みが中央銀行の口座を介して一対一に集約されている。そのため「銀行間の振込み」を確認してから「顧客口座への入金」という手順になる。そして銀行間で100万円移動した後、この100万はどの顧客のものかという情報が別途必要となる。

全銀システムの凄いところは、銀行間の資金移動の前に、その資金はどの顧客のものかを振込み人に確認させていることだ。もしこの確認がなければ、銀行間の資金移動のあと、「顧客名が見つかりません」、「顧客名がちょっと違います」など、顧客口座に資金を分配できず、お金を返すため、また更に銀行間の資金移動が発生しうる(bounce back)。全銀システムがあれば、振込先確認が既に終わっているため、顧客口座への資金分配が自動化できる。

想像してみてほしい。何百という人間が、朝一に銀行間の資金移動が終わった後、一斉に顧客口座への貸方記帳を名義確認とともに午後5時までの時間制限のなか手作業でする風景を。名義が異なっていた場合、顧客にコンタクトして確認必要があるのだが、電話をかけても出ないこともある。法人顧客ならば担当者を介してコンタクトする場合、部署内で誰が担当者なのかを捜し出す必要がある。大勢の人間が作業を分担すれば、作業分担で政治的駆け引きが生まれ、様々な人間模様が生じる。醜いこともある。そんな現実をきれいにしてくれるのが全銀システム(内国為替取引システム)。

外国為替取引(海外送金)についてはまだこの問題は続いている。スイフトというコミニケーションツールを使って、MT202(銀行間資金移動電文)とMT103(顧客口座振込電文)を銀行間でやり取りする。Beneficiary欄にある情報で顧客口座を確認し、もし見つからない場合はスイフト99シリーズ(フリーフォーマット)等で、銀行間のコミュニケーションがとられる。多くの資金情報電文に混じって文字数の制限があるフリーフォーマット電文でやり取りするのは、非効率極まりない。

全銀システムが全世界で使用されれば、各国の内国為替が自動化され、且つ各国の全銀システムをつなげることにより外国為替も自動化できる。(クリアリングのシステミックリスク解消のため各国の中央銀行の協力が必要)。全世界的なビジネスだ。全銀システムは稼動実績が高く、特にマルチバイトに対応させれば、SWIFTよりも高い利便性を持ち、全銀システムが取って代ることも可能と考える。(まずは内国為替)。

参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E9%80%9A%E4%BF%A1%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0