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銀行簿記

自分のお金を他人に貸せば、自分の持金は減る。ところが自分のお金を銀行に貸せば、それは貯金と呼ばれ、自分の持金が減ることにならない。それどころか、銀行も持金を得て、お金の合計金額が増える。この仕組みをマネークリエーションという。

会計の観点からは、自分の預けたお金は自分の資産であるが、そのお金は銀行からみれば負債となっている。つまり銀行は借金していることになる。元は一つのお金を資産と負債に分けバランスシートを構築し、両者とも取引の媒体として使えるようになっていることが、お金を増やす理由となっている。

銀行簿記に興味を持って、日本、米国、英国のAmazonを検索してみると、本がない。あっても100年近く前のものばかりで、手に入らない。

現在、日本では銀行簿記は商業簿記よりも難しいものとされ、商業簿記を学んだ後に学ぶものとされている。しかし、歴史を紐解けば、銀行簿記は日本で始めて導入された複式簿記であり、銀行簿記は商業簿記より単純なものであり、簿記を理解するにはより適切なのではと思える。商業簿記のように、在庫を無理に金額に換算することもなく、商品も在庫も元からお金であるためだ。

銀行を設立するときに、最初に開設する口座(アカウント)は、行内アカウントだ。アカウント自体はただの数字で、その意味付けは任意である。アカウントの日本語訳が口座、科目と分かれているのは残念。行内アカウントは、銀行内での資金移動、たとえば現金が金庫から、窓口のレジに運ばれたり、一日の終わりに一括してお金を支店から、本店へ送られることを表現することに使われる。在庫がお金であるため、その場所を細かく、どこから(デービット)、どこへ(クレディット)と管理する必要が銀行にはある。

最近は、インターネット銀行など現金を取り扱わず、銀行口座から銀行口座への振込みが専門の銀行もある。銀行会計に現金科目がなくなる日も遠くないのか。

そのほか、行内アカウントは商品に対応しても設定される。たとえば住宅ローンの金利は、自動振替の場合、顧客口座から(デービット)住宅ローン収益口座に(クレディット)振り返ることで、銀行は住宅ローン収益を会計上、管理することができる。銀行簿記では必ず、デビットがクレディットの前にきており、資金の流れが左(デービット)から右(クレディット)と一貫性を持っているように見える。この場合、行内アカウントはP/L、損益計算書に影響を与える。

行内アカウントと顧客アカウントの違いは、1.前者には利子がない、2.後者の所有者は銀行ではなく、外部の人。銀行はただアドミニストレータとしての役割だけを担っており、勝手にデービット、クレディット(引落し、入金)することはできない。つまり行内アカウントはノストロ口座、顧客アカウントはボストロ口座といえる。