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イールド・カーブの逆転

 

その道のプロに話を聞いたので、理解したことを綴る。

 

普段は短期金利より、長期金利のほうが高い。なぜなら長期のほうが不確実で見通しが、短期よりたちにくく、 リスクが高いから。しかし今回、米国市場債権市場では、短期金利長期金利より高くなり、それをイールド・カーブの逆転という。

 

普段、債権トレーダーは短期の低い金利で借入し、長期の高い金利の債権で運用することで、金利差による運用益を得る。そこで大事なのは、債権トレーダーは、短期金利長期金利よりも高い、逆イールドの状態は続かないことを知っており、少なくても短期と長期の金利が同じ状態の、フラット・イールド・カーブの状態になることを知っている。また逆イールド・カーブの状態になるのは、長期金利が上がらず、短期金利だけが上がって逆イール・カーブに なるのではなく、長期金利が下がることで逆イールド・カーブになる。

 

逆イールドが続かない。なぜなら長期金利が下がっているということは、実体経済で言えば、長期の資金需要がないということ 。工場の投資や住宅ローンなどが見込まれず、景気が悪い(もしくは悪くなる)ということ。景気が悪ければ米連邦準備制度FED)が政策金利を下げない理由はない。また短期金利が高ければ、長期債権を担保にお金を借り、短期市場に資金を投入する裁定取引を通じて 、短期金利は下がってくるはず。

 

短期金利は、FED政策金利によって決まる。これまでFEDQEを辞め、政策金利を順調に上げてきたが、今月21日に、2019年もまだ初めの方なのに「今年これ以上の政策金利の引き上げはない」ことを示唆した。このようなことは異例であり、米国の景気が想定されていたよりも良くないこととFEDが認めたとも理解できる。そのため短期金利が下がることを見通せば、今の段階で逆ザヤでも長期金利債権に投資をしても、逆ざやの期間は、政策金利が下がるまでの一定期間であるという見通しが立ち、且つ長期金利は下げ局面であるのだから、逆イールドであっても現時点で低い金利長期金利債権に投資することは、合理的な判断となる。

 

実体経済の多くは、短期で借り長期に投資する。逆イールドカーブは短期の借入れコストが米国を除いて、高くなることであり貿易赤字国などの通貨の切り下げ圧力となる。また短期金利の高騰は調達コストの上昇であり、景気の減速、株価の下げ圧力ともなる。

 

イールド・カーブの逆転は、世界経済にどのような影響を与えるのか。株価が下がれば、政府機関の買い支えがあるかもしれないし、短期金利が高ければ政策金利を下げればいい。つまりPrice Mechanismの否定、ひいては資本経済の市場原理の否定にもつながる。終わりの始まりはもう、始まっているのか。 

 

 参考

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-25/POWIRZ6TTDS001

 http://japan.hani.co.kr/arti/economy/33102.html