Get Things Right

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デジタルトランスフォメーション(DX)

お世話になった経営者にDX戦略についてまとめてくれと言われ、付け焼き刃ながら急遽3ページのパワポにしてまとめて提出した。

 

ITを知らない経営者に対してDXだ、AIだ、BlockChainだと目新しい言葉を使って、注目を集める事ことには抵抗があるが、会社全体が言葉に踊らされている時には時流に乗る必要もある。 大きく事業に成功している経営者は理解できなくても試してみることで、そこからきっかけを掴み、大きく成功した経験を持つ人が多い。自分はビットコインが出始めの時、分からないとスルーしたが、そこで試してみるという行動が取れていたらという後悔がある。

 

ある知人が銀行が生き残るために何をしたら良いかを学ぶためにアメリカに飛び有名大学のコースを受けてきた。ディスラプターと呼ばれる新しいIT技術を用いて革新的に金融サービスを提供する新規参入者がきたら、旧態依然とした銀行は恐竜のように淘汰されてしまうのではないかという危機感のもとに。そのような危機に著名大学の教授達はどんなアドバイスをくれるのだろうか?

 

結論をいえば旧態依然とした組織がGoogleのようなイノベーターになることはない。だからパートナーシップを組むべきだとの話。また銀行はお金があるから、「これは脅威になるのでは?」という会社があれば早めに資本を入れて、大きくなる前にコントロールできるようにしておく。それだけ新しく脅威となる会社がタケノコのように育ってくることを前提とするがアメリカの資本主義市場社会ということか。

 

台湾にイスラエルから「新しい金融ビジネスを立ち上げか方」を教えに来るとのことで、その講演会、そして講習会のようなものに参加したことがある。イスラエルから来た人曰く、「エンジェル(投資家)」を見つけなさいと。自分が手をあげ「エンジェルと言えば背中に羽があり、遭遇することのない存在ですが、何処にいるのですか?」と聞くと、「テルアビブには銀行が少ない。だから起業家は当てがなくてもニューヨークに電話するのだ。金持ちであるならば誰でもエンジェルになってくれる可能性がある。エンジェルとは神話的存在ではない(Angels are not mytical creature)」と。イスラエル人の行動力に感心する。 

 

DXに話を戻すと経営者はどのように新しいサービス価値を創造し、収益源を確保していくかを模索する必要がある。自分のパワポでは、その企業のみが持ちうるデータを活用し、それを使って新たなAPIサービスを提供してくという内容にした。また大事なのはその企業がどのようにしてデータの集約先となれるかだ。

 

最近はFacebookが個人情報の使用を咎められているが、特に個人の購入履歴や行動履歴などは今後益々重要なデータとなる。時価総額の上位を占める、マクロソフト、アップル、Google,アマゾン、テスラ、Facebook,これらの企業は行動履歴など多くの個人情報を蓄積している会社だ。 個人情報を持たずに広告や、商品を売ろうとすることは、目を瞑って的を狙うようなものだろう。ただデータ活用をDXとして伝えると、どこが新しいの?と聞かれる。だからAIBlockChainという単語もパワポに入れといた。

 

参考:

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112210.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E5%8F%8A%E5%AD%A6

中文老師

3,4年間師事した中国語の先生が癌で亡くなった(既に数年経つ)。長年日本人への中国語教育に台湾で携わってきた方だ。図らずとも自分が最後の生徒となった。

 

ご家族は福建省福州出身であり外省人。ビン南語とは異なる言語を話す。どんな質問にもすぐに答えるのもそうだが、いつも明るく自分の中国文明論等に感情豊かに反応してくれ、話やすい環境を提供してくれた。職場では政治論や、歴史などを話すことは適切ではなく、語学学校は職場とは異なる話題を話す特別な機会。

 

台湾の中国語教師は、第1世代が国民党と一緒に台湾に渡った人々。第2世代は外省人の家庭から選ばれ、第1世代について学んだ人々(発音に耳を立て盗むように学んだといっていた)。第2世代に該当する先生は、高度成長時代日本の商社が、台湾で2年間という長期に渡り海外留学をさせるだけの余裕があるときに多くの日本人生徒達の中国語教育に携わった。

 

毎年日本の商社から来る若者は同じ年頃なため、最初は妹のように扱われ、そして姉のように扱われ、そして母、叔母のように扱われるようになっていったという。日本の商社によっても特徴が異なり、特に三菱は体育会系で飲み会で羽目を外す度合いが抜けていたそうだ。どのような日本人が中国語がうまくなり、自分の中国語のレベルはそれら過去の商社の人と比べてどのぐらいなのか、非常に知りたく何度か同じ質問をしたが、人との比較をしない人だった。

 

自分がNHKラジオ中国語で学んだ、謙遜を表す表現「还差得远呢(自分は、及ばず、まだまだです)」といったところ、突然笑いだし「離哪裡差得遠?どこから及ばないの?」とそれは中国大陸的な表現だと教えてくれたことを今でも思い出す。

 

台湾での中国語教師は上の世代に行くほど外省人が多く、国民党支持者だ。彼女も馬英久の熱烈の支持者で、李登輝は嫌いであった。また近い将来、中国との統一は当然と考えており、自分に違う観点からの台湾人像を与えてくれた。彼女にとっては中国大陸は父が生まれた故郷であり、自分の兄弟や親戚が暮らす場所である。

 

中国大陸の歴史を学ばず、台湾の歴史を学ぶことを推進する民進党など、中国古典を愛する彼女にとって許容できることではない。そこから抽出できる人生訓の厚みが比較にならないほど差があるからだ。李登輝の「私は日本人だった」などの発言は、親の世代が日本軍戦ってきた外省人にするれば、自分たちのリーダーとしての自覚のかけらもないことを露呈している配慮のない発言。台湾語の推奨なども、上手に話せない自分たちを排除する政策と他ならない。

 

ある日、日本人の生徒が一週間語学留学に来ているが、お金の節約のため公園で寝泊まりをしていることを教えてくれた。その根性に驚愕した。また、非常に年老いたおじいちゃん生徒の家を訪問して教えていたことを知った際、「その方の中国語の進歩の度合いは?」と聞くと、「その人には進歩は関係ない。きちんと丁寧に学び続けていることがすごい」と返答された。商社から派遣されテストの成績が本社に報告されるため、常にストレスにさらされている生徒など。聞く度に自分はその生徒達よりも中国語が上なのか、下なのか気にしていた。ただ今思うと、人との比較より自分が継続して努力をするほうが本質的に重要だ。

 

常々中国語教師は自分の天職だと言っており、教室を明るく楽しい時間にしてくれた老師に感謝しつつ。

 

5Gネットワークの未来

Gなどのモバイルネットワークの勉強をしてみると、インターネットのようにTCP/IPプロトコルのような標準で成り立っているネットワークでなく、ベンダー依存の実装が大きいことに気づく。例えば光ファイバーにしてもCommon Public Radio Inteface(CPRI) という標準があるにも関わらず、異なるベンダーのCPRIケーブルを使うと不具合が出ることがあるという。

 

Gでは(特に中国ベンダーの)ベンダー‧ロックインを避けるため通信規格や仕様の細分化とオープン化が進められている。その具体例が open Ran , o-CU, o-DUなどだ。また使用するハードウェアも汎用のものを使用し、機能は標準化されたプロトコルを使用したソフトウェアで実装する。そして製品の生産はFoxcommなどのOEMに委託できるようにすることで、モバイル通信ネットワーク器機の費用を抑える。後発組の楽天などはレガシーインフラが無いため、戦略的に汎用器機を自社インフラに組込むことで費用削減を目指している。

 

では5Gでは何が変わるのか。より早くなり、より多くの器機が接続できる。自分は個人のレベルではあまり変化を感じないのではと考える。なぜなら携帯電話の小さな画面でより高画質になっても変化は感じにくく、また速さは処理が1分から1秒で終わるようになれば効果は大きいが、更に1秒が60分の1秒になっても、人間の感覚にはあまり違がわからない。

 

また3G,4G,Gというがモバイルネットワークの進化は、実はより細かくリリース8,リリース9とほぼ毎1,2年ごとに3GPPという団体により新しい仕様が決まり4Gでも1年目と10年目で内容が大きく違う。

 

なぜ年を追うごとに通信速度が早くなるかというと、リリース1252.6GHz以上、リリース19250GHz以上と使用する電波の周波数帯を高い方に拡張しているから。電波は周波数が高くなるほど光に性質が近くなり、直進性が増し遮断物があればそこで止まってしまう。そのため高い周波数を使う5G はより多くのアンテナ塔を建てなければならず、不動産、土地使用料そして維持費用が跳ね上がる。また個々のアンテナ塔から自社のデータセンターまでネットワークケーブルを引かなければならない(このケーブルをバックフォールと言う)。

 

2021913日にKDDIがイーロンマスク氏の会社Starlinkと提携し、バックフォールを有線でなく、Starlinkとつなぐサテライトアンテナで代替する予定を発表した。Starlinkは高度約550Kmに配置されており、24GHz以上の周波数で運営されるという。これはほぼ5G のミリ波周波数(30GHzから300GHz)だ。高度550Kmなら光、電波の速度(300Mm/s)で1.83ミリセカンドの時間で届く。宇宙は真空なため光通信は、光ケーブルよりも早くなるため、曲線が加わる海底ケールブル網より、宇宙サテライト‧ネットワーク網のほうが遅延は低くなる可能性がある。

 

自分は将来電信会社が5G ,Gへの投資にかまけている間に、衛星携帯が取って代わっていくと予想している(そのためには高機能な埋込み型受信アンテナと高精度なビームフォーミングを装備する衛星が必要と考える)。電信会社が、4G,5G,6Gと高い周波数の利用が進むにつれて、遠くに届かなくなる電波をカバーするため、通信施設の鉄塔を際限なく増やし設備投資負担に苦しむ中、衛星ならば3基、4基で世界中をカバーできるからだ(低高度ならばもっと多くの衛星が必要)。

 

その中で世界で最初にStarlink社との提携を発表したのが日本のKDDIで、またソフトバンクグループが衛星インターネット企業OneWebに投資したのも、将来の通信において衛星網の重要性を見据えているからだろう。宇宙事業に民間企業が参入し、人工衛星打ち上げコストが下がる。量子暗号通信も衛星で行われ、軍事技術にも直結しているため、大国間の競争に促される形で、多額の研究資金が将来渡り投下されるであろう。通信技術の進化は今後宇宙にシフトする。

 

多くの国々で通信会社は巨大インフラ企業として存在するが、宇宙からの技術革新に乗り遅れる通信会社が一気に淘汰される時代が来てもおかしくない。衛星通信機能標準装備の中華携帯や、iPhoneの登場とともに。

 

参考:

https://www.youtube.com/c/3G4G5G

https://www.youtube.com/channel/UCw64Fd-CqTkfBhtXA6ZvrqQ

https://hbol.jp/145041/

https://www.jsatmobile.com/satellite/

https://en.wikipedia.org/wiki/Inmarsat

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%83%E3%83%88

https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2021/09/13/5392.html

https://en.wikipedia.org/wiki/Starlink

バコン CBDC(Central Bank Digital Currency)

カンボジアCBDC(Central Bank Digital Currency)ブロックチェーンベースの中央銀行デジタル通貨バコンが1028日より正式運用が開始された。正式運用といえども、以前よりテスト期間として運用されていたので1028日が形式的な意味合いが強い。

 

なぜカンボジア中央銀行CBDCを導入したのか。その前提となるカンボジア経済を説明する。

 

1.米ドル経済

 

カンボジアは長い内戦を経た後、国際連合カンボジア暫定統治機構UNTAC)に統治され、国連の平和維持活動(PKO)の対象となった。多くの軍人、警察官、官僚が各国より派遣され、また多くの現地カンボジアスタッフもUNTACに参加した。そして給料は米ドルであったため、市中に米ドル紙幣が流れ込んだ。UNTACが去ったあとも、現地通貨カンボジアリエルよりも米ドルの信任は厚く、現在でも米ドルがカンボジア経済で大きな役割を占める。

 

外国の会社は為替リスクを回避するため、米ドルでの投資を好む。そのためカンボジアにとって米ドル経済は、海外投資を呼び込むのに都合がよい。また海外資本が米ドルを使って、マイクロファイナンスという農村部に対しい高利貸し事業に営んでいるため、米ドル使用が農村部までに広がっている。

 

米ドルを使用している限り、カンボジア中央銀行は金融政策の余地がなく、中銀はカンボジアリエルの使用率を高めることで金融政策(金利の上げ下げなど)が実施できる。

 

2.スマートフォンと電話番号を使った送金サービスの発達

 

カンボジアは携帯電話、特にスマートフォン普及率が高い。そのため数年も前から電話番号を使用した、送金サービスが普及している。送り手は受け手の携帯番号さえ知っていれば、お金と携帯番号を代理店に渡し、SMSを受け取った受け手は、地元の代理店でお金を引き出せる。このような送金業者たちをPSIsPayment Service Institutions)という。

 

カンボジアの田舎には銀行の支店やATMがない。人工密度の低いカンボジアでは銀行は都市部を中心に支店を出し地方に手が回らないことが多い。PSIの代理店ならば地方にもある。しかしPSIは規制が弱く、数年前に倒産事例があり、農村部の人々が預けていたお金が戻らなくなってしまった。銀行ならば比較的安全で、借入金もマイクロファイナンスより金利が低い。このように銀行に対してアクセスがないことで受ける不利益の問題を金融包摂(Financial Inclusion)の問題という。

 

カンボジア中銀は国内銀行間の決済(内国為替)はACH、国内銀行間のATMの接続はCSSと国内金融機関に向けて、決済システムを提供している。しかし多くのカンボジア国民は銀行口座を持たず、送金にPSI業者を使用している限り、中銀が提供する決済インフラの外で、資金が循環する状態が続く。すなわち、金融包摂の問題とは国民側から見れば、銀行サービスへのアクセス欠如という問題だが、中銀から見れば米ドルを使用してPSI業者のシステム内で資金が循環している状況は、中銀の役割が大きく縮小している問題となる。

 

以上述べたことに対する対策の一つして、中銀が直接モバイルアプリを提供しデジタル通貨を発行することは、Aカンボジア国民に対して安全にお金を預ける手段を中銀が提供する。B)紙幣通貨を電子化することにより貨幣の利便性を高め、且つ信頼性が高い決算手段を提供する。そしてC)中銀の経済での役割を拡大させ、カンボジアリエルの使用が高まることで金融政策手段を持つことなる。

 

ではバコンは成功するのであろうか。まずはバコンのアプリをダウンロードしてもらわないと始まらない。個人がダウンロードすれば、送金につかえる(相手もバコンを使用しているなら)。また商店やタクシードライバーが使用を開始すれば、物やサービスの購入の支払手段となる。銀行口座も普及しておらず、かつクレジットカード決済も一般的でないカンボジア経済に、バコンアプリを普及させていくには、バコンのQRコードを各商店においてもらう、個人に対してはバコンのメリットを消費者にアピールしてダウンロードしてもらうなどプロモーション活動が必要と思われる。

 

最後に、バコンは市中銀行から見たところ送金業務、預金業務(バコンに金利は付かないが)と競業関係にある。同時にバコンでは本人確認等の業務は市中銀行が担うことになっているため、市中銀行の協力が欠かせない(銀行が本人確認をしたあとは送金の限度額が上がる)。バコンにより中銀と市中銀行の役割分担は変わるのか(または市中銀行の役割は縮小するのか)?そしてブロックチェーン技術の特性を応用した、より高い利便性のサービス(例えばクレジットスコアリングや取引の自動化)等は生まれるのか?今後バコンがカンボジア経済をどのように影響を与えるのか注目される。

 

参考:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000019078.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%B8%E3%82%A2%E6%9A%AB%E5%AE%9A%E7%B5%B1%E6%B2%BB%E6%A9%9F%E6%A7%8B

デジタル人民元 DCEP(Digital Currency Electric Payment)の国際化

2013年以降、中国の貿易に占める割合は米国を抜いて世界一。しかし中国の通貨RMBが国際決済の中で占める割合は非常に低い。RMBを国際通貨とするためには、自由にRMBを売買ができる環境が必要だが、そうすると為替が変動しやすくなる。人民元高となれば国内産業、特に輸出産業に大きな影響を与える。中国は国内産業を守るため、RMBの為替規制し、為替を安定させてきた。

 

中国は2015年に中国人民銀行は、電文フォーマットにISO20022、英語にも対応したクロスボーダ人民元決済システム(CIPS)を導入し、各国の銀行が現地法人を通じて、直接中国のCIPSシステムに接続できるようにした。そのことで、欧米の影響化にある仕組み1)SWIFT(電文のやり取り)、2)CHIPS(クリアリングハウス)、3)USD(通貨)を介せずとも直接、人民元を使ってクロスボーダー決済ができる基盤を構築した。しかし人民元がクロスボーダー決済に占める割合は、中国が世界貿易で占める割合に比べ依然低い。 

 

デジタル人民元DECP)は人民元の国際的地位を向上させる可能性を持っていると考える。以下、架空の例に沿って、どのように人民元の利便性が高められるかを述べる

 

<前提>

AFIFinancial Institutions、主に銀行)用DECPウオレット(FIW)を中国人民銀行PBOC)が国内外問わず世界中のFIに配布する。

B:企業は大口決済DECPウオレット(大口W)を使用。企業の大口Wは、銀行のFIWと紐付く。

C:銀行はFIW内の設定画面を使用して、大口W別に送金上限を一時的に変更することができる。

DDECP決済は24x7運用

  

<シナリオ例>

1.企業(日本)が大口DECPウオレット(大口W)を持っており、送金上限が500元とする。企業(日本)の大口Wは、銀行(日本)のFIWと紐付いている

2.企業は中国から輸入するため1000元の支払いを中国企業(所在地中国)に行う必要がある。

3.企業(日本)は輸入書類を銀行(日本)に提出し、1000元の送金枠を申請。手数料を銀行に支払う。

4.銀行(日本)は輸入書類を確認後、FIWを使用して1000元の送金枠を企業(日本)の大口Wに付与(送金枠番号も通知)。またPBOCにも送金枠番号を報告

5.企業(日本)は送金枠番号を自社大口Wに入力後、1000元を送金。

 

ここで重要なのは以下の利便性:

 

資金は銀行ではなく、常に企業(日本)のウオレット内(大口W)にあるため、銀行の倒産リスクを企業は心配する必要がない

企業は送金のタイミングも銀行の営業時間に縛られず、送金枠番号を取得後、いつでもDECPで送金でき、リアルタイムで資金が届く

銀行業務は輸入書類審査と報告のみで、送金業務は含まないため、結果として企業の送金コストが大幅に下がる。輸入書類が所定のフォーマットならばAIで自動書類審査も可能なはず

FIW保持銀行(日本)は中国本土に法人を設立する必要がない。

大口Wの資金の動きをPBOCAIスコアリングし、優良な大口Wに対しては送金を事前申請ではなく、事後報告を許可とする。

現在中国が勧めている人工衛星を利用した量子暗号通信ネットワークと組み合わせば、セキュリティも高まる

 

DECPをクロスボーダー取引で使用するには、まず初めにDECPを購入しなければならない。DECP購入通貨を国外の輸出入企業に対してUSドルと指定するれば、中国政府は世界貿易に占める割合が高いことを利用して、DECPと入れ替わりに世界に流通するUSドルを吸収できる。

 

最後にトランプ政権がアメリカファーストと題して「物とサービス」の米国本土への生産回帰の旗振りを担うのは、有価証券の売買等の資本取引中心で米国経済が回っていることの欠点を理解しているからではないか。つまり諸外国が米国から買いたい「物とサービス」の欠如が、回り回って米国ドルへの信認の低下の遠因となる。資本取引での利潤は、生産活動とは関係なく、お金を中央銀行が刷り、株価等の値段を上げることで生み出すことができる。そのカラクリで経済を回さなければ行けない国は、お金を裏付けなく刷ること(通貨の切り売り)を止めることは難しく、新しい通貨の挑戦を受けることになると考える。

  

参考:

https://chinapower.csis.org/trade-partner/#:~:text=Over%20the%20past%20several%20decades,12.4%20percent%20of%20global%20trade.

https://www.swift.com/sites/default/files/documents/swift_bi_currency_evolution_infopaper_57128.pdf

https://www.globalcapital.com/article/jby5rxy7zybv/germany-china-rmb-payments-surge-71-swift

https://www.cailu.net/article/13004917988372265.html

https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=121&ng=DGXKZO44995850Z10C19A5EA2000

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/9807.pdf

https://www.boj.or.jp/about/services/tame/t_seido.htm/

https://www.fnn.jp/articles/-/71555

中銀デジタル通貨 Central bank digital currency(CBDC)

決済は多く分けて二種類ある。一つはリテール、個人がクレジットカードを使ってネットで買い物をしたり、個人が口座振替でお金を支払い家を買う、現金を使ってお店で買い物をする。もう一つはホールセール、主に銀行間で行われる大口決済。ホールセール決済には中央銀行自身が口座を決済参加者に提供し、資金の受け手と出し手の間に入り、必要ならば中央銀行自身が資金の出し手となることで、資金循環を潤滑にしている。

 

リテール決済においては、ATMを用意して現金を提供、支店やネットバンキングを通じての口座振替、送金そしてクレジット‧デービットカードでの決済と市中銀行が大きな役割を占めてきた。このような決済機能を市中銀行が提供してきたから、金利が低くとも決済用として市中銀行の口座に資金が滞留していた。それがCBDC(中銀デジタル通貨)で大きく変わろうとしている。ここではカンボジアのバコンと中国のDCEPの2つのCBDCに絞って述べる。

 

カンボジアでは2020年8月現在、14の銀行が参加してバコンの実証実験が行われている。仕組みとしてはカンボジア中央銀行NBC)がトークンを発行し、バコンウオレットを通じてバコントークンの受け渡しができる。バコンの授受では受手が携帯でQRコードを提示したり、送り手が口座番号もしくは電話番号を指定することで送金ができる。バコンのウオレットが銀行口座に紐付いている必要はないが、紐付いている場合は、身元確認済みとみなされ、資金移動の上限が緩和される。中央銀行がバコンの価値を保全しているため、バコントークンの交換だけで資金決済が完了する。

 

カンボジア中央銀行はバコンの仕組みを通して、銀行口座を持っていない人々にも、携帯電話(スマホ)さえあれば、資金送金の手段や倒産リスクを考慮する必要がない価値保存の手段を提供する。またバコンのスマホ.アプリは市中銀行への口座開設誘導手段ともなる。

 

中国の中央銀行中国人民銀行PBC)も同様な手段(Digital Currency Electronic Payment , DCEP)の実証段階に入っている。アプリ上に見える機能で、バコンにないのが「碰一碰 (touch&touch)」。これはNFCを介し、スマホスマホを直接触れ合うことで支払いを行う。つまりネットに繋がっていなくてもオフラインで決済ができる。

 

中国語のDCEPの議論を見てみると、金融政策や制度設計にまで踏み込んでいる。例えば、CBDCは現金と引換にデジタル通貨を発行するために市中銀行から流動性を吸い上げ、また資金がデジタル通貨に資金が流出することによる乗数効果の減少が予想される。また同時に、通貨の電子化により流通速度(Velocity of Money)が早くなりGDPを押し上げる効果も考えられる。CBDCの導入により経済が縮小したり、市中の預金が減ることで資本金が潤沢にある銀行のみ生き残るような結果にならないように制度設計を考慮する必要がある。

 

DCEPはM0(現金と中銀口座残高)の代替と位置づけるなら、市中銀行は勘定科目細目としてDCEPを流動性資産計上し、通貨と同じように中央銀行から金利も付与されるのではないか。そうすると現在、中央銀行による政策金利短期金利)は市中銀行のクレジットリスクの高低に関わらず、一律となっているが、DCEPではクレジットリスクに応じた金利市中銀行に付与したり、また現在銀行だけがクレジットリスクのない中央銀行口座を開設でき、中央銀行から国債などを担保に資金を借りられるが、今後は戦略的に重要な産業(例えば宇宙開発事業や防衛事業)などにも直接資金を中央銀行から配分される仕組みとなるのではないだろうか。少なくともETF購入に資金を使うより、より効率的に戦略的重要な産業に資金投下がされるであろう。

 

最後にバコンとDCEPの未来を占いたい。カンボジアのバコンは世界で初めての中銀デジタル通貨。仕組みは先進的であるが、アプリは利便性が良くなければ普及しない。市中銀行からの問い合わせ対応や、問題が起きた際の処理の手際は良いか。アプリでの決済、送金は遅くないか等が普及の鍵。バコンが先進的な仕組みであるからこそ、途上国であるカンボジアで運用するには敷居が高い。バコンのシステムを支えるソフトウエアはオープンソースとなっているが、バコンのシステム挙動から金融制度まで、俯瞰的に理解し、利便性をサポートできる人材が何人カンボジアにいるのだろう。

 

中国のDCEPはアリペイやウィチャットなどと、国内では競争することになる。アリペイとウィチャットは中国国内に銀行口座を持っていることが前提となるが、DCEPは中国国内に銀行口座を保つ必要がない。そのため外国人や、国外で使用する場合はアリペイやウィチャットより利便性がある。華人が経済を握り、一帯一路に深く組み込まれた国々では、自国の中銀デジタル通貨より、中国が発行するDECPを使用して中国のネットショプ淘宝(タオパオ)で買物をした方が利便性が高い場合もありえる。言い換えると国境を超えた中銀デジタル通貨の競争が始まる可能性がある。

 

アメリカが世界中に基地を持ち、膨大な軍事費用を負担できるもの米ドルが基軸通貨であることが大きい。アメリカは必要ならば米ドルを刷ることで、石油など必要な物資が調達できる。つまり米国の軍事的優位と米ドルが基軸通貨であることには相関がある。そのため、国境を超えた中銀デジタル通貨の競争は、米ドル基軸通貨の立場を脅かすとみなされた場合、軍事衝突にまで発展するリスクがある。 

 

どの中銀デジタル通貨が競争に勝ち、基軸通貨となるのか。最終的に軍事力によって決着が決まらないように、将来を見越して今から競争の枠組みを先に構築する必要があるのでは。本来ならば下記の3ではなく、1と2で競争すべき。

 

1: 中銀の資産:デジタル通貨も、中央銀行の負債と見なせるので、中央銀行や国内政府の財務内容が重要になる。過去に通貨を発行する際にどれだけ規律を持ち、裏づけとなる資産をどれだけ優良なもので積み上げてきたか

2: 通貨の利便性

3: 軍事力

 

参考:

https://bakong.nbc.org.kh/

https://soramitsu.co.jp/

http://finance.sina.com.cn/zl/china/2020-08-04/zl-iivhuipn6727872.shtml

COVID19とPCR検査

カンボジアPCR検査を受けた。自分が滞在しているコンドミニアムCOVID19発生者が確認され、その約2週間後、突如明日に全従業員と滞在者にPCR検査をすると管理組合を通して通達があった。午前10時頃電話がかかり、下に来るよう要請があり、行ったが、午後2時にまた来てくださいと追い返された。防護服に身を包んだ人が何人もおり、非日常的に思えたので写真をとろうとするいと大声で「No Picture」と言われたので写真を断念した。

 

PCR検査の前に、身元確認が行われる。まずはじめに「英語か中国語、どちらがよいですか」と聞かれ、それから名前の確認。多くの人が(多分MinistoryOfHealthの人)が英語、中国、クメール語を喋れるように見受けられた。 

 

椅子は(消毒液によるものと思われるが)濡れていた。そこに座り、口を大きく上げると「違う」と言われた。まず鼻に長い綿棒を入れるのだ。少し痛かった。そのあと、木のヘラで舌をおさえながら、長い綿棒を喉の奥まで差し込まれ、思わず「オエィ」という声が漏れた。 不快ではあったが、あっという間に終了。結果はまだわからない。PCR検査に必要なのは長い綿棒なのだ。だったらもっと頻繁に行われても良い気がした。

 

考えてみると、2週間経ってからの通達は潜伏期間を避けている意味があるのでは。また通達は突然で、当日に報名‧登録、翌朝に検査とあったが、それは通達と検査実施の間に移動する時間を与えないためでは、と思うとかなり細かいところまで考えられたマニュアルがCOVID19に対しては(英語や中国語の情報にアクセスできる国では)存在するのではないかと思う。

 

先週は本来ならばカンボジアの正月休みに当たるが、人の移動を抑えるため急遽平日に戻され、かつ、移動制限も課された。感染者の人数が少ないうちから、全ての学校も閉鎖され(3月18日)、また消毒液の設置、人と人の間隔を開けるための措置等、COVID19に対する対応がカンボジアは早いと思うし、マスクを付け始める人も早い時期から多かった。政治家が中国に行ったり、クルーズ船を迎えたりと、COVID19を無視していると思ったが、考えてみればCOVID19カンボジアが対応するにはアメリカや中国の支援が欠かせない。支援を要請するための下準備とみなすことができると思った。また4月2日からカンボジア全土でカジノに対して営業中止を求めた。この国でカジノの営業を止めるということは大きな政治的決断だ。また4月5日から米の輸出禁止も始まっている。米ドルを国内通貨としているカンボジアは、国内通貨供給を増やすためには外貨獲得が必須にも関わらず。

 

話変わって、コロナが気になり、最近テレビを見るようになった。「新型コロナウイルス] 瀬戸際の攻防 | NHKスペシャ | NHK」を見た雑感なのだが、対策チームが働いている部屋にカップラーメンが積み上がっているのが見え、びっくりした。本来ならばグーグルオフィスみたいに、カフェテリアやジム、仮眠室(そしてマッサージ)みたいな最高の職場環境で働くべき人々が、狭く3密の権化のような場所で働いているように見えた。東北大震災の際、自衛隊は長期に活動が見込まれることを前提に「戦力回復」のもと、生活支援や疲労回復までも含めて計画‧活動していたが、「戦力回復」の概念がないようにも思えた。

 

自分なら各保健所や各種医療機関からの情報を集約する仕組み(コールセンターやITILプロセスなどで使われているチケットシステム)を使用し、リソースが足りない部分を視覚化しつつ、データをもとに予算を配分してもらい、リソースのマネージメントは事務方で、公衆衛生の専門家たちが、より専門分野に注力するようサポートする組織体制を構築するのにと思いながら見ていた。また「War Room」や「Command Center」のような24時間体制も構築し、公衆衛生の専門家がいつでも必要な指示を出したり、24時間体制で個別タスクの進捗確認などもできるようにする。WHO本部はスイスに在るため、日本とは時差が7時間ある。公衆衛生の専門家はWHOと連絡を取るだけでも、睡眠を削っているのではと心配になる。

 

ネガティブなことを書いたが、やはり日本はすごいと思ったことにアビガンの備蓄。遠い昔に流行して長いこと流行していないウイルスには、一般に国民は免疫を獲得していない。そのようなウイルス(再興型インフルエンザウイルス感染症)に対して、アビガンのような薬が用意されいる国は他にないのではないか。ここに来て思い出したが昔、薬剤に関わる仕事をしたことがあり、リサーチのために厚生省に電話をしたり、出向いて役人の方々や記者クラブの新聞記者の方々と会話をしたことがある。その経験についても別途記述したい。