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シンガポールの経済とその雑多な印象

一ヶ月のシンガポール出張を終え、雑多な印象を語る。

シンガポールに滞在中、新聞テレビにふれ、町を歩き、同僚と話して感じたことだがシンガポールの経済は絶好調だということ。すでに十分先進国の様相を呈している上に至る所で建設ラッシュが見える。まだ出来上がってないマンションにSold Outの垂れ幕が掲げてある。巷に景気のよい話ばかりがあふれるという経験を社会人になって初めて経験した。

滞在中ちょうど建国の父リー・クワンユーのテレビ放送がありこれもまた初めて彼を目にした。息子が首相をやっていることについて、(自分の英語が不備なため)正確な言葉ではないだろうがI am the first person to quit him if he is not good enough, because the future of Singapore is more important than his…. How simple is that! と力強い口調で言っていたのが印象的であった。時には人間の遺伝子にまでさかのぼり論理的に自分の考えを説明し、時には誰もが否定できない彼の功績をもとに力強く聴衆を押し切る。カリスマとはこういうものなのか。40年で熱帯雨林の中にこれだけの都市国家を建設するリーダシップの一端を垣間見た気がした。

日本に帰ってきて目に付いたのは、「最後の一人まで農業ができるように」、「作物の価格下落を補填する助成金」などの標語。お金を生み出さないところにお金を回していくことを厭わない民主主義・政党政治の現実。資本主義と民主主義の不整合を発端とするだけに根が深い。「ふるさと納税」の話題も借金が重なり、いよいよく首が回らなくなった国家の中で小さくなり続けるパイの奪い合いの議論にしか聞こえないのは、シンガポールの発展に少なからずショックを受けているからだろう。1998年まで日本政府よりODAを受けていたのだから。

自分が最重要と考えている分野、教育だがシンガポールの教育は詰め込み方式で、育てる教育ではなくエリートを選ぶ競争教育と聞く(科挙の影響か)。情報の希少性がなくなった現代に適応した教育とは思えず、いつか転換期を迎える必要があると自分は考える。だが競争が激しい教育の中で勝ち上がってきたものは自分の受けた教育を正当化する傾向が強い。エリート意識、己の自信、そして自分が費やしてきた労力がその教育に依存するからだ。この点日本と異なり救いがあるのは海外から有能な労働者を積極的に取り入れる方策を取っていること。

7%の経済成長を10年続けると経済規模は2倍近くなる。経済成長が著しい世界経済の一端に思いを巡らせることができ、「海外っていいな」と思えたシンガポール滞在であった。