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国際自由貿易のもたらす当然の帰結、統一通貨 Rising Global Currency, as the consequence of free international trade and competition for seigniorage


国際貿易において貿易収支が赤字の国があれば必ず黒字の国もある。なぜなら貿易収支の定義はX(export) – I (Import)で与えられるから。

X(輸出) – I (輸入)>0のときに貿易収支は黒字
X(輸出) – I (輸入)<0のときに貿易収支は赤字

である。国際貿易においてすべての国の輸出額を足し合わせた金額はすべての国の輸入額合計と同じであるとも言い換えられる。

このとき貿易収支が赤字というのは国際貿易において支払う金額が受け取る金額より大きいことを意味する。支払う金額が収入より多ければ貯金を切り崩すか、お金を借りて支払うしかない。問題なのは国際貿易の場合、国際通貨(ここでは米ドルとする)で支払わなければならないため、赤字国家は自国の通貨をたくさん発行して支払いに当てるようなことができない。米ドルの貯金がなければ、米ドルでお金を調達してくる必要がある。

貿易収支が赤字というのはその赤字国家の構造的な問題に起因し、長期に渡って赤字であり続けることが多い。赤字国家は国内での消費が海外からの物・サービス(財)の輸入に頼っており、自国では生産してないからだ。この構造を変えるには財を自国生産に切り替え輸入を減らすか、他国にない財を生産して輸出を増やすかのどちらかだが、どちらも経済の構造自体を変革してはじめて長期的な効果がでる。

長期的な赤字を続けていれば累積赤字、つまり米ドル建ての借金は雪だるま式に増えていく。次第に輸出をして外貨を稼ぐ行為が、財の輸入ではなく借金返済の意味を帯びてくる。

発展途上国の累積赤字を帳消しにしようという運動が過去にあったが、いったん帳消しにしてもこの構造が変わらない限りまた同じように借金が積みあがりもとの木阿弥となるだろう。

ここでもし、その貿易赤字国が発展途上国でなくアメリカ合衆国ならどうだろう。米ドル建ての借金は雪だるま式に増えても、米ドルは通貨発行特権(seigniorage)を行使すれば借金を返すことができる。つまり自国通貨を国際貿易通貨とした国家は国際貿易において特別な地位(Hegemony)を獲得することに他ならない。

経済力でアメリカに次ぐ世界第2位のになって久しい円を国際通貨に押し上げる機会が過去に一度はあったのだろうか。たとえ機会が訪れても重要性にきずかず、実現するための構想力が欠如していれば今日の円の国際的地位と同様のものとなろう。今後数十年のうちに中国は元の国際化(もしくはアジア地域貿易通貨)という機会を得るのだろうか?未来を予測することは難しいが、ただユーロ、米ドルとの国際通貨の地位を巡っての競争という意味ではアジア共通通貨圏を構築したほうが両国、しいてはアジア地域全体にとって理にかなっていると自分は考える。

Reference:

スティグリッツ早稲田大学講義録 グローバリゼーション再考 (光文社新書)

スティグリッツ早稲田大学講義録 グローバリゼーション再考 (光文社新書)