チンジャオロース 「青椒牛肉」
行きつけの餃子館(小麦を使った料理を出すレストランのこと)は中国語しか通じない。料理が一覧になっている注文表に数量を記入して注文する。いくつかのメニューは手書で壁に張ってあるだけなので料理名も記入しなくてはならない。
「チンジャオロース」を注文しようと壁を見るといつも張ってある紙がない。漢字(中国語)で「青椒牛肉」と書けばよいのだがどうしても「椒」の字が出てこない。「ジャオ」ってなんだ。どう書くの?「ジャオってピーマン」。「ピーマンだからgreen pepper」。「pepperはコショウ」。でコショウって漢字でどう書くのと喧々諤々。
日本語では漢字が分からない場合は「ひらがな」ですませてきた自分。漢字が出てこなければそれまでという漢字(中国語)のハードルの高さを改めて認識する。
中国語は簡体字やピンイン(アルファベット)導入など識字率を高める運動を今現在も続けている。しかしどんなに識字率を高めても、漢字は「読める」と「正確に書ける」の間に大きなギャップが残るのは避けられない。
日本語は漢字をもとにひらがなとカタカナを造りだした。そのことが人々の識字率に大きく寄与し大衆文化が花開く。明治維新において漢字の持つ造語力を活用し抽象的な語彙を翻訳、日本語に新たな概念組み込む。インドネシア・マレーシアのようにイスラム教が入ってくるまで文字を持たなかったケースと異なり、日本は中国という文明に近い地政学的優位のため早い時期に文字を獲得できた。(近すぎたら同化)
1625年。イエズス会のニコラによって編纂された「西儒耳目資」はわずか25文字のアルファベットと5つのアクセント記号で中国語を表記した。中国語音を25文字の要素にまで分解しそれを再び組み合わせ、同じ発音なら同じ表記をすることで劇的なまでに文字を簡略化してみせた。当時にして衝撃だっただろう。この手法、破壊力は数学に類似する。
華人は話せる人→読める人→書ける人と右にしたがって比率が下がる。漢字を使いこなせるのは一種のステイタスとなっていると感じる(自慢されるから)。字体、書き順、ストロークの払い・止め等。漢字で教養の差を簡単に見せ付けることができる。
書くことがステイタスなるほど漢字は難しい。自分に自慢した人はそれが不幸なことだと知らない。2009年には台湾でもピンイン(ローマ字表記)が採用される。コンピュータに入力する際にも使用されるピンインの重要性は今後高まるだろう。
Reference:
http://en.wikipedia.org/wiki/Pinyin
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