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国債暴落のとき 其の一 原因

国債は暴落し、銀行は倒産する。その原因と過程を説明しよう。

国債の価格は金利が上がると下落する。例えば100円の額面で5%の利回りなら、1年後に105円となる国債があるとする。ところが国債が5%では売れず、利回り10%で新規に発行されれば、一年で100円から110円になる国債が市場に出回る。そのためもし既存の利回り5%の国債を売りたければ、値段を100円から95円に下げ、一年後に105円で10円の利益、すなわち利回り10%の国債と同じだけの利益をもたらすように、価格を下げて売らなければならない。

日本は過去20年間、低い利率で大量の国債を発行してきた。結果、ゼロ金利に近い利率で集めた預金を、国債に投資して利益を出してきた日本の銀行が、大量の国債保有することとなる。現在、銀行の1150兆円の現金、預金のうち468.9兆が国債等に投下されている。(資金循環統計094Q速報より)

ここで問題なのは近い将来、国債金利は必ず上昇し、国債の価格は必ず下落するということ。日本政府は借金を膨らまし続けており、日本政府の借金である国債は、今後信用が上がる余地がないからだ。

IFRS国際会計基準)のもと導入される包括利益計算書は、資産価格の下落を損益として計上することとしている。すなわち含み益、含み損も含めて利益を計上する、透明性の高いものとなっている。価格が下落することが必至な国債を、大量に保有している銀行は構造的に今後、多額損失を財務諸表に計上することとなる。そして国際統一基準(BIS)によって規定されている、自己資本比率(8%海外営業、4%国内)を遵守することが不可能となる。メガバンクと呼ばれる銀行がまた減る。

大事ことは財務諸表に虚偽の情報を載せたり、政府の統計に手を加えないこと。この問題は、日本政府がプライマリーバランスの目標を捨て、ばら撒き政策に転換したことからくる政府に対する“信用”の欠落がもとにある。その上で更に“信用“を傷つけるような行動は得策ではない。

日本国の経済規模が縮小し、多くの失業がもたらされる。その原因が“ばら撒き政策”を支持し続ける国民からきていること、「自助の精神」こそ欠如していたものと学ぶ契機となれば、国債暴落に端を発する次なる日本金融危機も無駄はないと言えるだろう。

参考:
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/sj/index.htm

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