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 抗日戦争勝利について

日本軍と戦ったのが蒋介石の国民党ではなく、なぜ共産党になっているのか。台湾人に教えてもらったことを綴る。

清朝が倒れて袁世凱が実権を持っていた時、軍閥が闊歩していた。広東に拠点を持ち、黃埔軍校を運営していた蒋介石は北伐に乗り出し、軍閥は独立した軍隊を保ちつつ蒋介石の軍門に下った。

日本軍が中国を侵略した際、中国と日本の軍事力の差は歴然だった。占領された陣地を取り返すような攻防はなく、日本軍は進行し、それを阻止する形で国民党軍が防衛ラインを張り、防衛ラインを任された軍団がほぼ全滅するまで時間稼ぎをしている間に退却する。蒋介石の国民党軍はこれを何度も繰り返した。

蒋介石は防衛ラインを任せる軍団を、自分の軍隊(黃埔軍校での教え子)から遠いものから選んだ。真っ先に選ばれるのが毛沢東共産党軍と北伐の対象であった軍閥。その頃の共産党軍は二つのみ。八路軍と新四軍。蒋介石の指揮系統に入り、対日本の防衛ラインを担当させられれば、全滅は避けられないため、八路軍陝西省に拠点を起き、日本軍に既に占領された地域においてゲリラ活動、つまり農民と同じ装いをした。日本軍に占領されていても、中国は広大なため、活動の余地が残されていた。また蒋介石の陣地では共産党軍が新兵を補充することは許されないが、日本占領地では蒋介石の影響は及ばず、リクルートが出来る。ちなみに南にいた新四軍は蒋介石の軍と戦っていた。

日本が敗戦を迎えた後、蒋介石毛沢東との内戦は激化した。その際、防衛ラインを担当させられた軍閥は、蒋介石が自分の部下のみを大事にすることを覚えており、蒋介石を裏切り次第に毛沢東側についた 。結果、圧倒的優位であった蒋介石は敗れ、米軍に助けられながら政権を台湾に移し、大陸では毛沢東が中国人民共和国を樹立した。

8年に及ぶ抗日戦争で国民党将校の犠牲者は200人以上、共産党将校の犠牲者は1、2名 。 抗日戦線は国民党軍によってなされた。しかしその多くは共産党軍に寝返ったため、国民党軍は台湾に移った後、抗日戦線勝利を掲げることができなくなった。勝利を祝えば「では実際に戦った人は今どこにいるの?」という問題が生まれ、「国民党を裏切って共産党軍になりました」とは言えないからだ。そのため実際に戦った国民党は口を閉ざさざる得なくなった。そこに歴史の空白が生まれ、現在、共産党のみが抗日勝利を掲げている。また台湾では八路軍を悪者として教えているため、八路軍の名前は皆、知っているが、国民党軍の名前を知っている人は台湾でもいない。だから中国の軍隊として名前が知られているのは八路軍のみ。そのことが歴史の空白を強め、八路軍を中国軍の同意語として使われることを許している。

毛沢東は自分で抗日勝利を掲げることはなかった。たとえば日本軍の重慶爆撃を非難すれば 、重慶が国民党軍の拠点であったため、国民党が戦っていたという事実に突き当たるからだ。しかし江沢民の頃からか抗日が共産党のものとなってきた。最近ではカイロ宣言に関係のないはずの毛沢東が映画になることが台湾でも話題になった。歴史を直視しろという中国。これっておかしくないと?と問うと彼は「成者為王 敗者為寇」と答えた。これが中国の歴史なのだと彼は言う。勝者は王で、敗者は匪賊という意味。

抗日戦争勝利というが、本当は勝利したのは共産党軍でも国民党軍でもない。米軍が日本に勝利したのは周知の事実 。だから中国は「勝利」を宣言しなければならない。それが「王か寇」という問題に繋がるからだ。

似た例ではナチ・ドイツを破ったソビエト。ロシア人は 第二次世界大戦を「the Great Patriotic War」と呼ぶ。しかし大概の日本人は英米がナチと戦ったと思い、ソビエトのことは思い当たらないだろう。ボルゴグラードの資料館を尋ねたりしなければ。

歴史は勝者によって造られる。歴史に空白が生じれば、それを埋めるものが歴史を造る。歴史を造るには「名前」が必要。そして歴史は為政者の正統性の為に利用される。

参考:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%9B%9B%E8%BB%8D
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E5%9F%94%E8%BB%8D%E5%AE%98%E5%AD%A6%E6%A0%A1
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E5%9F%94%E8%BB%8D%E5%AE%98%E5%AD%A6%E6%A0%A1
http://www.recordchina.co.jp/a46405.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E8%B7%AF%E8%BB%8D
ぼくは日本兵だった