ビジネスで使われる中国語 その二 節奏Jiézòuと熱情rèqíng
■節奏Jiézòu 熱情rèqíng
台湾で何度か日本人に対する批判としてよく聞いたのが「熱情rèqín」がない。「日本に旅行にしたけど、日本人って礼儀はあるけど熱情rèqínがないね。なぜなんだい?」。自分は日本語には「熱情rèqín」に相当する概念がないから」と答えている。「熱情rèqín」を辞書的に説明すると、「 積極的に表現する、フレンドリーな感情」。中国語の先生は例として「おせっかいなおばさんが、凄い勢いで見知らぬ他人に、“今日暑いでしょ、これ美味しいよ! これ食べると元気になるよ!、いいから食べな!” ってするでしょ。日本人は礼儀がないと思うかもしれないけど、台湾の人はこれを“熱情rèqín”があると考える」と教えてもらい、目からウロコが落ちた気がした。
先日親戚が初めて台湾に来たが「人が優しいね」感じたという。自分もそう思うが、台湾の中部(台中)、南部(台南)からきて、台北で働いている人に言わせると「台北は人が冷たい」という。「熱情rèqín」が足りないのか
場面は変わるが、自分個人に対しての批判として 「節奏Jiézòuが良くない」と言われたことがある。その時は「節奏Jiézòu」の意味がよくわからないので、批評をくれた人に直接聞くことも含めて、色々と他の人にも聞いてみた。
「節奏Jiézòu」の原義は音楽でのリズム。それが広がって、例えば「映画の節奏」といえば、映画の中の映像のバランスなど、複数の要素の組織化された編成(Orchestration)などの意味で使われる。
直接面と向かって自分に「節奏Jiézòu」が良くないと批判した人は、自分よりも年配の方であったが、自分が上司で彼が部下の関係であった。また職場でも、彼だけは台湾語で通し(自分と話すときは標準中国語のだが)、英語名を持っていなかった 。他の台湾人と相談すると「節奏Jiézòu」が悪いって言われても、部下が上司(もっというと会社の)「節奏Jiézòu」に合わせるべきなのではとアドバイスともらい、少し気が楽になった。
その方は日本が大好きで、自分のことを日本人とまで言っていたが、自分との会話のときは、少しいつも興奮・緊張しているように見えた。緊張すると心動が高鳴り、息苦しさを感じる。実際、心身に負担がかかっているだろう。もしかして彼の言う「節奏Jiézòu」が悪いとは、彼自身の心蔵の鼓動リズムと関係しているのではと思い立った。自分はどの言語でも早口で話す傾向がある。それよりも彼にはもっとゆったりとした感じで話しかけ、時折台湾語で冗談なども交えながら話すことができれば、異なった結果になったのかと考える。
最後に伝えたいのは「外国人は批判を免れないこと」。なぜなら「熱情rèqín」も「節奏Jiézòu」も、母国語(日本語)に、その概念すらなく、それを「大事にしていない 」と言われても、なんのことすらも理解できないから。逆に日本人が外国人にたいして「あいつは空気がよめない」とか「先輩・後輩の礼儀がない」と日本特有のことを言いことも同様であろう。結局、自分(自国)の価値観を中心におけば、他人(外国人)を批判することほど容易なことはない。
参照
https://cidian.911cha.com/MW1ycW8=.html
https://www.zhihu.com/question/21422343