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 なぜ株式投資はもうからないのか 保田 隆明 (著)

図解 株式市場とM&Aを読んでからのファンでありはM&Aや株式のことについて分かりやすくブログで語られている人が書いた本。

前半部は機関投資家に対して個人投資家負っているハンディについての記述。後半はITがもたらす個人投資家のempowermentの可能性、しいては株式市場の本来の役割について触れられている。

読了し思い出したことは「証券会社っていらないのでは」と昔考えていたことであった。企業が株式、もしくは社債を発行する際にネットで告示しオークション形式で値段をつけるシステムがあれば個人投資家機関投資家もオークションにビットすると言う意味で格差がなくなる。(ユニバーサルブックビルディングASPと仮称)企業にとっては高い値をつけてくれた人から順に株主登録をし資金を集める。この株式募集の目的は企業が「価値と価格の等価交換」を通じて資金を集めることにあるので、高い値段をビットした人はその企業に高い価値を見出しているとして高い値段で株式を取得してもらう。

株主保有者管理システムは株券の不面化にともなって今後は保管振替機構(ほふり)だけとなり、そこでの証券会社の役割は口座振替の粒度を高めるグルーピングタグに過ぎない。もしすべての個人・機関投資家が保管振替機構上で口座を持っていると仮定するなら、先ほどのシステムから自動的にデータがフィードされれば法的にも所有権が確定する。

株式も社債もただの「権利」であり実質的には情報である。保有権の特定に必要なデータは実質的には債券を特定する債券管理番号と債券保有者の2列であり、コーポレートアクションを除外して考えればかなり単純なシステムとなる。だから本書の中で何度か「バルクディスカウント」について言及があったが、もしこのようなシステムが存在し全自動化されているのが前提であれば100株取得も、10000株取得も手間としては同等であり「バルクディスカウント」が生まれる余地がなくなるのではないかと思う。

海外ではその萌芽はすでに現れており、以前調べたときはスタティック情報(isinとquickコード等)の統一がむしろ難しいと読んだ記憶がある。近未来の予想としては①今言ったことを日本で実現するのは利害関係調整が難しく、②結局海外がネットで同様のサービスを始め日本企業が使い始めてから、③日本でも「国産プロジェクト」して事が動き出し、④そのころにはとりもどせない差がついてたことが判明し国費が無駄になる。というのが妥当な予想だろうか。