Get Things Right

My English blog is here http://getthingsright.blogspot.com/

銀行業務:其の一 勘定系システムと決済指図

銀行業務は古くから存在することからわかるように仕組みは単純だ。誰の為にいくら預かっているかを帳簿につける。現在ではその帳簿はシステム化され勘定系システムと呼ばれる。昔は顧客からの要求は手紙もしくは口頭を介して銀行に伝えられ帳簿を更新していたが、現代では電文メッセージのやり取りが交わされ、勘定系システムのデータベースを更新する。本来単純なはずの銀行業務が複雑になった理由の一つの理由は電文メッセージが統一されておらず、様々な電文メッセージを元に勘定系システムを更新できるようにするためには多額のシステム投資が必要になっていることだ。

例として海外の銀行(A銀)が日本の銀行(甲銀)に口座をもっており、その口座を使ってもう一つの日本の銀行(乙銀)のソニー口座に日本円100万振込む指図を考える。A銀は海外の銀行なのでSwiftサービス(アルファベットを使用)を介して「乙銀Sony口座に100万円振り込み」という電文メッセージを作成し、甲銀に指図を送る。その指図を受けた甲銀行は内国為替制度(全銀システム:カタカナを使用)を使って「乙銀ソニー口座に100万円振り込み」と電文を作成する。海外の銀行は「ソニー」というカタカナを使わないため甲銀行は全銀システムの仕様にあわせてアルファベット(sony)をカタカナ(ソニー)に変換する作業が必要となる。この変換作業のシステム化は難しい。

電気料金の自動引き落としはその月の電気料金を電気会社が銀行に伝え、銀行は勘定系システム上の該当する口座から料金相当額を差し引くことで完了する。電気利用者が銀行振り込みの場合はATM操作、もしくは支店を訪れて振り込み指図用紙を記入して窓口に渡す。大口の法人顧客ならば銀行側が自前で作成したインターフェース(Webシステム等)を企業に導入して振込み指図を作成してもらうこともある。

最終的には帳簿上に該当する口座(勘定)情報を更新するという単純な行為が、勘定系システムからみて入力の種類が複数あり、それぞれのデータフォーマット(時には伝票用紙、時にはカタカナ、時にはアルファベット)に互換性がないため非常に複雑且つ大規模なシステムを必要とさせる。

金融システムが進んでいる国ではACH(Automated Clearing House)を設置し銀行からみてのデータフォーマットを統一しているところがある。クリアリングハウスは甲銀行に対してA銀行、B銀行それぞれソニーの口座に100万円振り込む指図が来た場合データを一元化(clearing)し、甲銀行からみればソニーの口座に200万円の振込みと一本の電文にする。銀行はクリアリングハウスから来た電文だけを処理し、勘定系システムに反映させるだけで決済が完了する。

Reference:
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/s_group/siryou/20070601/03.pdf