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華僑はなぜお金持ちか −リスクをとることの重要性

Forbesでフィリピンのお金持ちリストを見ると、お金持ちは中国系か植民地時代からのスペイン系エリートが並んでいる。インドネシア、マレーシアで、タクシーの運転手に豪邸を指差して「誰が住んでいるの?」と聞くと「Chinese」と答える。アジアで最も裕福な国のシンガポールは中国系が多数を占めている。

なぜ、そこまで海外に出た華僑はお金持ちになるのだろう。中国系に聞くと「優秀だから」、「勤勉だから」、「教育を重視するから」などと答える。非中国系に聞くと「彼らは商売が上手」、「リスクをとる」からと言う。東南アジアで大富豪になった中国人は、多くの場合一代でのし上がっている。そして、彼らは高い教育があるわけでない。

自分は、華僑が東南アジアの経済を牛耳る事実は「リスクをとる」ことの重要性を示唆していると考える。

中国人は商売に対して、鋭い。起業するという強い思いを抱いている人が多い。事実、多くの人が自立し、個人で事業を始める。個人事業を成功に導くのは、容易ではない。多くの人が失敗をして裸一貫になる。しかし、その中で少数でも成功し、巨額の資本を手にすればそこには大きな経済的、政治的な力がついてくる。

お金には規模の経済が働いている。同じ利率でも、元本が大きければ利益は大きくなる。そして利率は複利計算。また多額の金額には、より多くの事業機会、投資機会に恵まれる。いわばお金の力はその額に対して、比例的に伸びるのではなく、幾何級数的に伸びるといえる。ここで言う、お金の力とは更にお金を増やそうとする力。お金をひきつける引力のようなイメージ。

話を簡単な例えに落とそう。最初に、リスクを取らない集団(非中国人)、たとえば10人に各々100円持っているとする。そしてリスクをとる集団(中国人)も、10人に各々100円持っているとしよう。非中国人の集団はリスクを取らないため、10年後も10人が各々、100円を持っている。中国人の集団は商売を始めて、10年後9人は裸一貫になったが、1人だけ1000円手に入れた。お金に規模の経済が存在し、1000円は100円の10倍の力ではなく、100倍の力があるとする。そのため非中国人の集団の力は100円掛ける10人だが、中国人の集団の力は1000円に対して100倍(規模の経済)となり、政治的、経済的により大きな力を得る。

お金が持つ規模の経済の為、リスクをとる集団がリスクをとらない集団を凌駕する。それがここ東南アジアで華僑が経済を牛耳るようになった理由と考える。